原告である労働者(X)と被告である使用者(Y)は,過去に,退職勧奨・パワハラによる損害賠償請求訴訟において,「YはXに対し,Yの言動が端緒にとなって本件が発生したことを重く受け止め,今後の労務管理に置いて職場環境に配慮する等して,再発防止に努めることを約束する」という内容を含む裁判上の和解をしました。

その後,XがYに対し,上記和解に基づく再発防止措置が果たされていないとして,再び損害賠償請求訴訟を提起しました(今回の裁判例)。
第1審はXの請求を棄却しましたが,高裁は,Yが和解条項に反する不誠実な態度をとり続けたとして,和解条項に基づく義務違反を認定し,Xの請求を認めました。

裁判上の和解において,上記のような再発防止に関する抽象的な文言を入れることも多いのですが,これに基づく義務違反を認定され得るという点にご注意をいただければと思います。