AさんはB社に対し、工場用敷地として、土地を年20万円で貸しました。B社は土地上に工場を建てて長年そこで営業を続けてきましたが、数年前から経営が傾き、地代を5年間滞納するに至りました。そこで、Aさんは、地代不払いを理由に賃貸借契約を解除し、建物(工場)を収去して土地を明け渡すよう求める裁判を起こしました。
B社もこの土地を明け渡さなければならないという点では認識が一致し、問題は工場の撤去費用でした。撤去費用の見積もりは、450万円~350万円でした。明渡しを命じる判決に基づいて強制執行を行った場合、執行費用としてそれらがAさんの負担となり、B社から回収できる見込みは低いことから、B社が倒れないうちに出せるだけ出してもらう形で和解をすることにしました。
結局、AさんはB社から撤去費用として350万円の支払いを受け(実際の撤去作業に不足が生じてもそれ以上請求しない)、現状のまま土地の明渡しを受けました。