店舗、駐車場などで落し物があった場合、遺失物法にもとづいて処理することになります。
店舗などの利用者が、その施設内で落し物を拾得した場合、24時間以内に、(警察ではなく)施設管理者に提出しなければなりません。24時間以内に施設管理者に提出しなかった場合、拾得者(落し物を拾った人。この場合は利用者)は報労金を取得する権利、所有権を取得する権利を失います。
落し物の提出を受けた施設管理者は、利用者の住所・氏名・連絡先、拾得場所、拾得日時、拾得物件の確認などを行わなければなりません。

従業員が拾得した場合は、施設管理者(法的には、施設を運営する会社の社長)が拾得者になり、報労金を取得する権利、所有権を取得する権利も、従業員ではなく施設管理者になります。なお、施設管理者が拾得者の場合は、拾得から7日以内に 警察署に届出をする必要があり、届出をしないと報労金を取得する権利、所有権を取得する権利を失います。

不特定かつ多数の者が利用する施設の管理者は、落し物の種類・特徴、落し物が拾得された日時・場所を、公衆の見やすい場所に掲示するか、これらが記載した書面を備え付け、関係者に自由に閲覧させるようにしなければなりません。

拾得者は、落し物の価値の5%〜20%の範囲で遺失者から報労金を受け取ることができます。 ただし、施設内でその利用者が拾得した場合は、利用者と施設管理者が2.5%〜10%の範囲で折半することになります。

ところで、法律上は、ごみと同視できるもの以外は、すべて警察に届け出なければなりませんが、ほとんど価値がないものについてまで警察署に届けるのは大変です。次の条件を満たせば、遺失者は遺失物の所有権を放棄しているものとして、警察に届け出ず、廃棄処分することも可能ではないかと思われます。
① 物件の種類・特徴、物件が拾得された日時・場所を記載した書面を備え付け、これをいつでも関係者に自由に閲覧させる。
② 届け出をした施設利用者が所有権を取得することができず、あるいは、報労金を取得することができなくても、文句を言わないような価値のない物件である。
例えば、傘、衣類、ハンカチ・マフラー・ネクタイ・ベルトその他衣類とともに身に付ける繊維製品または皮革製品、履物、自転車など(ただし、自転車は価値があることあり)
③ 3ヶ月保管する。