厚労省がまとめているパワハラの具体例としては、■身体的な攻撃(暴行・傷害)、■精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・ひどい暴言)、■人間関係からの切り離し(隔離・仲間外れにする・無視する)、■過大な要求(業務上明らかに不要なことなどを要求)、■過小な要求(仕事を与えないなど)、■個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)、などがあります。

企業秩序違反の従業員に対して、上司などが注意・指導を行うのは当然のことであり、会社側にも人事権があるため、裁量判断の結果として業務命令や配置転換などがなされること自体は違法ではないのですが、労働者の人格権を侵害するなどの違法・不当な目的・態様をもってなされたものについては、パワハラとして違法になる可能性が出てきます。

パワハラになるかどうかの判断要素としては、次のようなものがあります。
①人格否定、名誉毀損となるような発言か
②退職、解雇、処分を示唆するような言動か
③叱責を受けている本人の帰責性、業務上の必要性ある言動か(言動を受けた側の落ち度・緊急性)
④言動を受けた本人の立場、能力、性格
⑤指導の回数、時間、場所(事後的なフォローの有無なども考慮)

パワハラをなくしていくためには、会社内の体制を整えること、会社及び従業員の意識を変えていくことの両面が必要です。
前者については、以下のことが考えられます。
1 パワハラ予防・解決のためのアンケート
2 相談窓口の設置
3 外部窓口の検討
4 事後対応を検討しておく(社内でどのように解決するのか道筋を決めておく。懲戒事由として就業規則などに記載しておく)
5 再発防止につなげる

後者については、以下のことが考えられます。
1 誰もが加害者となる可能性があることを自覚する。
2 顕示欲求、優越欲求、承認欲求など、様々な欲求がハラスメントの根源にあることを知る。
3 社会の変化を理解する、思い込みや錯覚・共感力の鈍磨に注意する。