パワーハラスメントの相談を受けた場合、会社側が適切な対応をとらないと、会社の責任も問われる可能性があります。パワーハラスメント防止のための対策をとり、現実に相談があった場合には、その内容に沿った対応が求められています。
パワーハラスメント対策と対応
1 パワハラとは何か(1061)
パワーハラスメントの略称である「パワハラ」。パワハラと言っても、どのような行為がパワハラにあたるのでしょうか。
労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第30条の2及び職場におけるハラスメント関係指針(事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針:令和2年厚生労働省告示5号、以下「指針」といいます。)では、
職場におけるパワーハラスメントとは、
職場において行われる
①優越的な関係を背景として言動であって
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるものであり、
①から③までの要素を全て満たすものをいう。
とされています。
また、指針には、パワハラの代表的な言動の類型として次の6類型が挙げられています。
①身体的な攻撃(暴行・傷害)
②精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
③人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
④過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
⑤過少な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
⑥個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
※これらの言動は優越的な関係を背景に行われた言動であることが前提となります。
もちろん、これらは、例示的に列挙されているものですから、ここに分類されない行為がパワーハラスメントにあたらないというわけではありません。
これらの類型を参考に、個別の事案ごとに丁寧に判断することが必要になってきます。
パワーハラスメントは、「優越的な関係を背景とした言動であること」が必要となりますが、この優越的な関係は、上司が部下に対して行う言動に限りません。
同僚のなかでも生じますし、部下が上司に対して行うということもあります。
上司から部下に対するパワーハラスメントは、指導の一環として行われているため気づきにくいことがありますが、他方で同僚間や部下から上司に対して行われるパワーハラスメントでは、立場上なかなか申告をすることができず、発見しにくい面もあると思われます。
パワーハラスメント、特に職場におけるパワーハラスメントについては、指針に定めがありますが、実際の現場において、何が「パワハラ」に該当するかは非常に難しい問題です。職場の地位のみならず、職務の内容、それぞれの関係性、行われた行為などを個別具体的にみて考えていく必要があります。
パワハラの訴えを受けた場合、安易にパワハラに該当しないと判断するのではなく、慎重に行う必要があり、使用者側には適切な対応が求められています。
2 パワハラが生じた場合に会社が問われる責任とは
パワハラが生じた場合、どのような責任が問われるのでしょうか。
①加害者とされる者
まず、パワハラを行った従業員(労働者)個人(加害者)に対して行うこととしては、民法709条に基づく損害賠償請求を行うということが考えられます。
すなわち、パワハラをされた従業員(労働者)個人(被害者)は、加害者が行ったパワハラ行為(例えば、暴行、人格を否定する言動など罵倒をしたなど)の行為が人格権を侵害する行為である場合には、加害者の行った行為は、不法な行為であるなど(人格権を侵害する不法な行為であるなど)として、民法709条に基づき損害賠償請求ができます。
(不法行為による損害賠償)
第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
②会社
パワハラがあった場合、その責任を負うのは加害者であるパワハラ行為を行ったとされる者だけではありません。
会社自身がその責任を問われる場合もあります。
・使用者責任(民法715条)
その一つが、使用者責任です。
民法715条には、次のように定められています。
(使用者等の責任)
第715条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2項 (省略)
つまり、「ある事業のために他人を使用する者」である「会社」は、被用者である従業員(労働者)が事業の執行について、違法な行為(違法なパワハラ行為)を行い、第三者である従業員(労働者)に損害が生じたときは、その損害を賠償する責任を負うことになります。
加害行為をした従業員の行為が「暴行」などであった場合、暴行行為は会社の事業の執行 として行われるものではありませんが、事業の執行行為を契機としてこれと密接な関連を有すると認められる行為といえる場合には、それによって症いた損がいの賠償が認められることがあります。
(参考判例:平成8年3月27日判決)
加害者が会社を退職させる目的で、就業時間中に被害者に対し暴行等について、「業務遂行過程における些細な事柄に端を発して、いずれも就業時間中に就業場所において行われた被用者同士の行為であり、被控訴人の損害は、控訴会社の事業の執行行為を契機とし、これと密接な関連を有すると認められる行為によって加えられたものであるということができるので、民法七一五条一項にいう控訴会社の「事業ノ執行ニ付キ」行われたものであり、控訴会社は被控訴人に対して損害賠償責任を負うというべきである。」として、会社に損害賠償責任を認めました。
・債務不履行責任(安全配慮義務違反)
使用者には、従業員(労働者)がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働をすることができるよう、必要な配慮をするものとするとして、労働契約上の安全配慮義務を負っています(労働契約法5条)。
(労働者の安全への配慮)
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
そのため、従業員(労働者)が、パワーハラスメントにより、職場において保護されるべき権利が侵害されないように、使用者は必要な配慮をしなければならず、その配慮義務を尽くさなかった場合には、安全配慮義務に違反するとして、労働契約上の債務不履行責任を負うことがあります。
(参考判例:東京高裁H15.3.25判決(原審:横浜地裁H14.6.27判決))
「一般的に、市は市職員の管理者立場に立ち、そのような地位にあるものとして、職務行為から生じる一切の危険から職員を保護すべき責務を負うものというべきである。そして、職員の安全の確保のためには、職務行為それ自体についてのみならず、これと関連して、ほかの職員からもたらされる生命、身体等に対する危険についても、市は、具体的状況下で、加害行為を防止するとともに、生命、身体等への危険から被害職員の安全を確保して被害発生を防止し、職場における事故を防止すべき注意義務(以下「安全配慮義務」という。)があると解される。」
(参考判例:津地方裁判所H9.11.5判決)
セクシャル・ハラスメントの事案ではありますが、会社側が加害者行為を認識しながら、行為者に対し何らの注意をせず、対策をとらなかったこと、上司の立場にある者が被害者の話を聞きながらその理由を聞かず、その上長に伝えることもなく、加害行為者に注意をしなかったことなどを指摘して、仮に毎月定期の勉強会や研修会等を行っていたとしても、何らの対応策をとらなかったことについて、職場環境配慮義務を怠ったとして、債務不履行責任があるとした事例もあります。
そのほかパワーハラスメントにより、精神障害が発病した場合に労災認定がされることもあります。
パワーハラスメントは、従業員個人の問題だけでなく、会社としても責任を問われる可能性があることからも対応が不十分ですと、損害賠償請求がされるリスクが生じてしまいます。
3 パワハラ防止をするために会社が行うべき措置とは
このようなリスクを会社が負う可能性があることを考えますと、一番必要なことは、パワハラを未然に防ぐということになってきます。
また相談があった場合には、その相談に対応をすること、パワーハラスメントが発生した場合にはきちんと対応することなどが必要になってきます。
指針には、次のような措置を事業主(会社)は講じなければならないとされています。
① 事業主の方針の明確化及ぶその周知・啓発
・職場におけるパワーハラスメントの内容及び職場におけるパワーハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること
具体的には、就業規則や服務規律等にパワーハラスメントを行う旨の方針を規定し、周知や啓発を行うことや、研修や講演等を行うことが必要になります。
・職場におけるパワーハラスメントに係る言動を行った者については、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書に規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること
職場におけるパワハラに係る言動を行った者に対する懲戒規定を定める(あるいはすでにある懲戒規定が適用されること)を周知・啓発することなど対応が必要になってきます。
これらの方針を明確にし、周知啓発することでパワハラについての理解を深め、未然の防止を
② 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
・相談への対応のための窓口を予め定め、労働者に周知すること
具体的には、相談担当者をあらかじめ決める、制度を設ける、外部の機関へ対応を委託するなどと考えられています。
・相談窓口の担当者が、相談者に対し、その内容や状状況に応じ適切に対応できるようにすること
柔軟に対応をすることが求められていますので、職場におけるパワハラに該当するか微妙な場合やパワハラになるおそれがある場合も含め、相談者の心身の状況や受け止め方、認識の仕方などにも配慮して適切に対応することが必要となってきます
相談(苦情を含めて)の窓口がなければ、パワハラ行為の早期発見にもつながりません。また、相談担当者は、柔軟な対応が必要になってきます。相談者の相談に対する受け止めが不十分であったりすると二次被害が生じるおそれもありますし、適切な相談窓口を設けることが必要ですし、相談窓口だけでなく他の部署との連携を図ることなども必要になってくると思われます。
パワーハラスメントの相談窓口が会社内部にあると相談のしにくさにつながる場合もあります。
職場環境とは別に外部窓口を設置することも検討をする必要がある場合もあるでしょう。
③ 職場におけるパワーハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
・事実に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること
・事実関係の確認により職場におけるパワーハラスメントが生じた事実が確認できた場合には、速やかに被害を受けた労働者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
・事実関係の確認により職場におけるパワーハラスメントが生じた事実が確認できた場合においては、行為者に対する措置を適正に行うこと
・改めて職場におけるパワーハラスメントに関する方針を周知・啓発する等の再発防止に向けた措置を講じること
事実関係の正確な把握には、相談窓口の担当者だけでなく、人事や専門の委員会等を設けて双方から事実関係の確認をすることなどが考えられます。
また、パワハラの事実が確認できなかった場合にも、再度職場におけるパワーハラスメントに関する方針を周知・啓発する措置が必要になってきます。
④ 併せて講ずべき措置
・職場におけるパワーハラスメントについて相談した相談者・行為等のプライバシーを保護するために必要な措置をとり、その旨を労働者に対して周知すること
・労働者が職場におけるパワーハラスメントに関し相談をしたこと若しくは事実関係の確認等の事業主の雇用管理上講ずべき措置に協力したこと、パワーハラスメントの相談を外部(都道府県労働局や紛争解決の援助を求め調停の申請を行ったことなど)を理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。
上記のような措置をとることは義務とされています。きちんと措置を講じてパワーハラスメントの防止に取り組むことが、会社側には求められています。
4 パワハラの相談があった場合に会社はどのように対応すべきか
実際に、パワハラの相談を受けた場合、会社としてはどのように対応すべきでしょうか。
①事実関係の迅速かつ適切な確認
まずは、事実関係の迅速かつ適切な確認が必要になります。
聴取対象者としては、相談者はもちろんのこと、行為対象者の話を聞くことはもちろんです。
相談者から話を聞くときは、丁寧に聴くことが必要です。秘密の保持を約束したり、話した内容により不利益な取り扱いがないことや、本人がどうしたいか、どうしてほしいかという意思なども尊重しながら聞くことが必要になってきます。
聞き取りの内容としては、行為者がだれか、相談者との関係はどうか、いつどこでどのように行われたのか、相談者はどう感じ対応をしたのかなど、具体的に何があったかということを聞くことや、そのときの相談者の受け止め方、その当時の状況等も詳しく聞きとることが必要となってくると思われます。
また、同様のことが他の人に対してもあるか、誰か相談をした人はいるかなどもききとることも必要になってくることもあるでしょう。
聞き取りの際には、相談者の心情や受け止め方などを考慮しながら柔軟に聞き取ることが必要になります。
相談者が、いわゆる証拠(メールや録音、日記など)客観的なものを持っている場合には、それらの確認も必要となる場合もあります。
行為対象者の話を聞くときは、パワハラを行ったという評価をさしはさまず、客観的な事実を冷静に聞き取るように努め、事実関係をしっかりと把握していくことが必要になってくると思われます。
その他にも、必要に応じて職場の同僚などに、会社が調査の協力を要請する場合も考えられると思います。
ただし、必ずしも使用者が行う企業秩序違反の調査のために、いかなる場合でも、第三者に協力義務が認められているわけではありませんので、必要に応じて調査の協力を要請していくいことになると思われます。
確認が困難な場合には、パワハラ防止法30条の6に基づく調停の申請なども考える必要があります。
※労働者の調査協力義務について、少し参考判例を紹介します。
この例は、他の労働者の企業秩序義務違反事件の調査に対して労働者が協力しなかったことを理由に、懲戒処分をした事例です。この事例では、労働者の調査義務について協力義務について判断がされており、この判例によると、①企業秩序維持を職責とする者であって調査に協力することが職務の内容になっている場合、あるいは、②調査対象である違反行為の性質、内容、当該労働者の右違反行為見聞の機会と職務執行との関連性、より適切な調査方法の有無等諸般の事情から総合的に判断して、右調査に協力することが労務提供義務を履行する上で必要かつ合理的であると認められる場合に協力を要請することができることになりそうです。
もっとも、任意に協力をしてもらえる場合には、任意に協力をしてもらうことができます。また協力をした場合に、不利益な取り扱いをしてはいけません。そのことは、上記④の併せて講ずべき措置として明確にしておく必要があります。
(参考判例:最高裁第三小法廷S52.12.13判決)
「当該労働者が他の労働者に対する指導、監督ないし企業秩序の維持などを職責とする者であって、右調査に協力することがその職務の内容となっている場合には、右調査に協力することは労働契約上の基本的義務である労務提供義務の履行そのものであるから、右調査に協力すべき義務を負うものといわなければならないが、右以外の場合には、調査対象である違反行為の性質、内容、当該労働者の右違反行為見聞の機会と職務執行との関連性、より適切な調査方法の有無等諸般の事情から総合的に判断して、右調査に協力することが労務提供義務を履行する上で必要かつ合理的であると認められない限り、右調査協力義務を負うことはないものと解するのが、相当である。」
②被害者の被害回復を図るための措置をとることが必要になります。
パワハラ行為が認められた場合には、被害者の被害回復を図るための措置をとることが必要になります。
例えば、被害者と行為者の間の関係改善に向けて援助したり、被害者と行為者を引き離すために配置転換をしたり、行為者に謝罪を求めたり、被害者にメンタル不調が生じているときはメンタル不調への相談対応の措置をとるなどサポートをしていくことも考えられます。
③行為者に対して適正な措置を実施することが必要になります。
パワハラ行為が認められた場合には、行為者に対して適正な措置を実施することが必要になります。
指針に定められているとおり、会社は、「事業主の方針の明確化及びその周知・啓発」の内容として就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書で、職場におけるハラスメントに関する規定等を設けます。
事実関係が認められたとしても、内密に処理しようとしたり、当事者間に解決をゆだねる可能性がありますが、こうした対応では解決を導けません。
規定した指針に基づいて、規定に基づいた処分を行い、ハラスメントに該当する場合には、どのような問題があるかなどを理解してもることが必要になります。
また、指針に基づいて定めた規則・規律等をきちんと運用する必要があります。ハラスメントの防止措置を作ったというところで終了せず、適切な運用も求められています。
④再発防止の措置
その他、再発防止、その他の事例がないかにつき、再度研修を行うなどしてハラスメントの周知を行う必要が求められます。
また、相談や、事実調査に協力をしたものなど、相談等を理由に不利益な取り扱いがされない旨を定めて、労働者に周知し、不利益な取り扱いはないようにしましょう。
⑤パワハラ行為が認められなかった場合
パワハラ行為が認められなかった場合でも、場合によってはさらなるトラブルに発展する可能性もあります。関係改善のための措置をとることが必要になる場合もあるでしょう。
さらなる問題の発展を予防すべく、柔軟な対応をとることが必要になってくるものと思われます。
5 パワハラの相談を受けた場合、上司・同僚はどうすべきか
相談窓口ではないとしても、上司や同僚からパワハラの相談を受けた場合、相談を受けた方はどうすべきでしょうか。
上司や同僚も、当事者間の問題として扱ってはなりません。
場合によっては、会社の問題、会社が損害賠償請求をされるという問題にも発展してきます。
もちろん、相談者のプライバシーなどもありますから相談者の意向や意思を尊重する必要がありますが、上司としても職場環境を整えるために、パワハラを受けた行為者からの相談を無視することなく、適切な相談窓口、相談者につなげる必要があります。
先に挙げました、参考判例(津地方裁判所H9.11.5判決)のように、上司(主任)はパワハラ(セクハラ)に気づくきっかけがあったにもかかわらず、理由を聞かず、さらにその上司(婦長)に伝えず、注意をせず、被害者に損害が生じてしまったケースにおいて、たとえ研修等をしていても、職場環境配慮義務に違反しているとして、会社の責任を認めています。
上司や同僚も相談があった場合には、相談をされた方の心情に配慮しながら話を聞き、必要な対応をすることが求められてくるものと考えられます。
6 二次被害の危険性
職場におけるハラスメントに関する相談者・行為者等の情報は、プライバシーに関する事項です。
情報が漏洩すると、ハラスメントによる二次被害が生じえます。
相談者・行為者のプライバシーを保護するためにも必要な措置を講じることが必要ですし、プライバシーの保護措置がとられていることを、労働者に対しても周知することが必要になります。
プライバシー保護のために必要な事項については、あらかじめマニュアルを定めるなどして対応をすることも考えられると思います。
また、ここでのプライバシー情報は、単にパワーハラスメントの相談をした当事者の氏名、加害行為者とされる者の氏名のみではありません。
聞き取りをするにあたっては、広く相談者や行為者にまつわる事情を聞くこともあります。場合によっては性的指向や性自認、病歴などの機微な個人情報も含まれてくるものと思われます。
これらの情報の漏洩にもしっかりと対応をすることが必要となります。
7 相談を放置することは可能か
事業者には、パワーハラスメントに対して様々な対応が求められています。
そのため、パワーハラスメントの相談があった際、どう動くべきかについて決め切れない可能性もあるかもしれません。
しかし、上記のとおり事業者にはパワーハラスメントの防止措置を講じなければなりません。
これらの防止措置を適切に講じておくことで、迅速な対応をとることができるものとなると思います。
パワーハラスメントの相談を受けた場合、そのまま放置することで、さらに被害が拡大したりすると大変です。上記に記載したとおり、きちんと対応しないことによって、会社の責任が問われる可能性もあります。
相談を受けた場合には、決して放置せず、迅速に対応をしていただければと思います。
8 まとめ
職場におけるパワーハラスメントに対する対策は事業主の義務になりました。
事業主はパワーハラスメントの防止措置を講じなければなりません。
防止措置を講じた上で、実際にパワーハラスメントが生じた場合には、防止措置に応じた対応がきちんとできるように、従業員に周知をし、運用していくことも必要となってきます。
パワーハラスメントは、職場環境を悪化させるだけでなく、会社にとっても生産性の低下、訴訟を含む労力やコストの損失になりますので、まずは防止(予防)をするための取り組みをしていただき、パワーハラスメントの相談があった場合には迅速に対応ができるように日頃から準備をしておくことが必要です。
また、相談窓口が内部にある場合に、外部に相談窓口を設定されることもあると思います。その相談窓口として弁護士が対応をすることもあります。
その他、パワーハラスメントが生じたとの相談があった際の事実の調査について、その調査の公平性を担保するために、専門の委員会を作ることが考えられます。その際、弁護士などの第三者を入れることも考えられます。
パワーハラスメントの防止対策の見直しについての助言が欲しい場合、パワーハラスメントの相談があった場合の対応についてお困りの場合には、弁護士に相談をさえることも考えてもよいと思います。
グリーンリーフ法律事務所は、地元埼玉で30年以上の実績があり、各分野について専門チームを設けています。ご依頼を受けた場合、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。
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