宅建業者にとって避けて通ることのできない「心理的瑕疵」について、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所が解説いたします。

宅建業者とは

宅建業者とは、宅地建物取引業を営む者を言います。
そして、宅地建物取引業とは、「宅地建物取引業法」という法律で規定されています。
宅地建物取引業第2条第2号、第3号は、次のような定義規定を置いています。

第二条
二 宅地建物取引業 宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うものをいう。
三 宅地建物取引業者 第三条第一項の免許を受けて宅地建物取引業を営む者をいう。

ここからわかる通り、宅地建物取引業とは、
宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買
宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の交換
宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理
宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の媒介
をする行為で業として行うこと
ということになり、宅建業者と、これらの業務を営む者、ということになります。

心理的瑕疵とは

事故物件とは違うの?

心理的瑕疵、と似た意味や同義として「事故物件」という表現もしばしば使われます。
「事故物件」について具体的な定義はありませんが、自殺や殺人その他の事件が起きてしまった不動産を言うことが多いと考えられます。

心理的瑕疵とは?

不動産には、例えば天井の漏水や家屋の傾斜など、物理的な問題がある場合があり、こうした問題を物理的な瑕疵と言います。
他方で、対象物件において過去に自殺があったり事件があったりした場合や、近隣にいわゆる迷惑施設があったりできる可能性があったりする場合など、心理的に取引をためらわせるような事情があることもあります。
こうした、心理的に取引をためらわせる様な事情があることを、心理的瑕疵、と言います。

 

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宅建業者の重要事項説明義務

宅建業者の説明義務については、下記ページをご参照ください。
https://www.g-fudousan.jp/column/20230327-1/

国土交通省のガイドライン

これまで、心理的瑕疵については、告知についての基準がありませんでした。
しかし、令和3年10月8日、国土交通省から、心理的瑕疵のうち人の死についてですが、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定したと発表されました。
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo16_hh_000001_00029.html

ガイドラインによれば、どのような場合に告知が必要か?

告知が必要とされる場合

国土交通省ガイドラインの概要によれば、下記の通りとなっています。
(国土交通省HPから引用)
「⓪宅建業者は、人の死に関する事案が、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合には、これを告げなければならない。
①取引の対象不動産で発生した自然死、日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤嚥など)については、原則として告げなくてもよい。
※事案発覚からの経過期間の定めなし
②賃貸借取引の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した①以外の死・特殊清掃等が行われた①の死が発生し、事案発生(特殊清掃等が行われた場合は発覚)から概ね3年間が経過した後
③賃貸借・売買取引の対象不動産の隣接住戸・日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分で発生した①以外の死・特殊清掃等が行われた①の死
※事案発覚からの経過期間の定めなし」

注意事項

ただし、上記ガイドラインにおいて告げなくてもよいとされた場合でも、「事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案は告げる必要があるとされている他、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合は告げる必要がある」とされています。
また、ガイドラインにおいては、「買主・借主が納得して判断したうえで取引が行われることが重要であり、宅地建物取引業者においては、トラブルの未然防止の観点から、取引に当たって、買主・借主の意向を事前に十分把握し、人の死に関する事案の存在を重要視することを認識した場合には特に慎重に対応することが望ましい」とされています。
また、ガイドラインでは、亡くなった方やその遺族等の名誉及び生活の平穏に十分配慮し、これらを不当に侵害することのないようにする必要があるとされており、非常に慎重な対応が必要になります。
ガイドラインにはここにあげたほかにも各種注意があげられていますので、宅建業者は、今後は、ガイドラインを慎重に検討することが必要になります。

宅建業者の心理的瑕疵についての説明義務とグリーンリーフ法律事務所

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴

開設以来数多くの不動産に関する案件・相談に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、不動産に精通した弁護士が数多く在籍し、また、不動産専門チームも設置しています。
宅地建物取引士向けの法定講習講師を担当している他、宅地建物取引主任者試験(当時)に合格した弁護士も在席しています。
埼玉県内の宅地建物取引業者の皆様を会員とする「アネットクラブ」も主宰しています。
顧問会社様やアネットクラブの会員様からは、心理的瑕疵を含む、重要事項説明に関する多数の相談を受けています。

アネットクラブとは

アネットクラブとは、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所が主催する、埼玉県内の宅地建物取引業者の皆様を会員とするクラブです。
アネットクラブの会員からの法律相談をお受けしている他、アネットクラブ会員様のお客様の来所法律相談も初回無料としています。

最後に

グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。
宅地建物取引業者の皆様は、ぜひ、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の顧問契約締結や、アネットクラブへのご加入をご検討ください。
不動産案件・相談に精通した弁護士が回答いたします。

■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 野田 泰彦
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