こんにちは。弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の弁護士 渡邉千晃です。

離婚を検討されているときに、ネットの記事をご覧になることも多いと思いますが、そのようなネット記事には、「離婚をするときは、女性側が有利」と書かれているものも多いと思います。

なぜ、離婚をするときに女性側の方が有利なのでしょうか。

この記事では、離婚について、女性側が有利と言われている理由について、夫側の立場からわかりやすく解説していきます。

女性側が有利な点

まず、離婚するにあたって、主に下記の5つの側面から、女性側が有利と言われる点を解説していきたいと思います。

① 親権
② 婚姻費用
③ 養育費
④ 面会交流
⑤ 年金分割

以下で、詳しく解説していきます。

① 親権について

まず、親権とは、精神的・肉体的に未熟な未成年の子どもに代わって、監護や養育、財産管理などを行う権利のことをいいます。

親権は、婚姻中であれば夫婦が共同して担うものですが、夫婦が離婚をする場合には、親権者をどちらか一方に決める必要があります。

なお、離婚届けには、親権者を記入する欄があり、この欄を記入しなければ、離婚届けを受理してもらえないこと可能性が高いといえます。

親権者の決定方法

親権者は、まず、夫婦間の話し合いで決められますが、どちらも親権を譲らない場合には、協議離婚をすることができないので、家庭裁判所へ離婚調停を申立てることになります。

そして、調停においても話し合いがもとまらなければ、離婚訴訟への移行することになります。

親権者としてどちらが適切かという判断においては、下記のポイントが考慮されます。

・婚姻中の監護実績や継続性の有無
・監護能力(祖父母など監護を手伝ってくれる人がいるかどうかなども含む)
・住まいや学校など子どもの生活環境
・父母の経済力
・子どもの意向
・兄弟姉妹関係 など

上記、ポイントなかでも、婚姻期間中の監護実績や継続性は、特に重視されることになります。

母親が親権を取得する例が圧倒的に多いのは、かかる点が重視されているからです。

すなわち、婚姻期間中において、子どもの監護は、母親が行っていることが多く、また、離婚を見据えて別居している場合にも、母親の元で子の監護を行われている例が多いため、裁判所としても、このまま、母親が子どもを監護する方が良いだろうと考えることが多いのです。

もっとも、男性側としても、必ずしも、親権を諦める必要はありません。

これまでの監護実績以外にも、考慮されるポイントはあるからです。

例えば、これまでの監護が母親の元で行われていたとしても、子どもが夫の方に行きたいという強い希望を持っている場合や、夫の祖父母など監護に手伝ってくれる人がいて、子どもの福祉上、夫側で監護養育した方がいいと思われる場合などには、夫の親権が認められる可能性もあると考えられます。

② 婚姻費用について

妻の収入が夫よりも低い場合、夫は、法律上妻を扶養する義務を負いますので、妻と離婚するまで生活費を支払い続ける必要があります。

この生活費のことを、法律上、婚姻費用と言います。

女性の社会進出が目覚しい一方、現状、まだまだ男性の方が収入が高いことが多いですので、婚姻費用の支払い義務を負うのも、男性側が多いといえます。

婚姻費用を受け取る側が有利な点

お互いの離婚の条件が当事者同士では整わない場合、家庭裁判所に離婚の調停を行うことになりますが、この離婚の調停には、一般的に、2~3回以上の期日を要することが多いです。

そうしますと、離婚の成立までに、半年から1年近くかかることが想定されますが、その間も婚姻は継続しているため、男性側は、離婚が成立するまで、妻側に婚姻費用を支払い続けなければなりません。

すなわち、妻側としては、この離婚調停の期日を伸ばせば伸ばすほど、婚姻費用の支払いを多く受けられるため、早期に離婚に応じようとする動機が生まれず、期日が不必要に伸びてしまうというおそれがあります。

したがって、男性側としては、ある程度の条件が決まれば、細かな条件部分については譲歩し、早期に離婚を成立させた方が経済的には良いと考えられます。

③ 養育費について

養育費とは、離婚後に子の生活費として、扶養義務を負う者が支払うお金のことをいいます。

養育費の支払いについても、まずは、夫婦間で取り決めることができますが、夫婦間で金額の折り合いがつかなければ、調停の中で養育費の額が決められることになります。

現在は、養育費の目安として、最高裁が公表している「算定表」が広く普及しており、調停の中においても、基本的に、この「算定表」に基づいて、養育費が決められることになります。

ここで、注意を要するのは、養育費の算定の基礎とするのは、手取り額ではなく、年収の総額となるという点です。

手取り額ではなく、総収入で見ますので、実際に決まった養育費の額が家計を圧迫するということも考えられます。

したがって、男性側としては、算定表上考慮されていない特別な事情がある場合などには、調停の中で、しっかりと主張することが大切になります。

④ 面会交流について

面会交流とは、子どもと離れて暮らす父母の一方が子どもと定期的、継続的に会って話をしたり、一緒に遊んだり、電話や手紙などの方法で交流をすることをいいます。

上記のとおり、親権については、現状、母親が取得することが多いため、面会交流を求めるのも、男性側が多いといえます。

離婚調停においては、面会交流についても基本的に定められますが、子どもは母親のもとで監護されているため、面会交流には、母親の協力が不可欠といえます。

調停で決まった面会交流について、母親がこれを遵守しない場合には、強制執行の手続きを利用することもできますが、この強制執行を行うには時間と手間を要します。

したがって、面会交流においては、母親の協力を得られるようにしておくことが大事といえます。

⑤ 年金分割について

年金分割とは、離婚をした際に、夫婦の婚姻期間中の保険料納付額に対応する厚生年金を分割して、それぞれ自分の年金とすることができるという制度です。

夫が会社員や公務員であって、妻がその扶養に入っていた場合には、仮に夫側が年金分割をしてほしくないと希望しても、年金事務所において、妻が一人で手続きを行うことができます。

したがって、男性側としては、年金分割については、ある程度、割り切る必要があるといえます。

まとめ

離婚をするうえで、女性側が有利となる点を解説しました。

離婚においては、上記で解説したように、女性側に有利な点も多いと考えられますが、男性側としては、これらに臆することなく、離婚に踏み出すことで、新たな生活をスタートすることが大切だといえます。

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