以前、「相続人がいない場合にはどうなる?」というコラムを作成しました。
その際取り上げた「相続財産管理人」と「相続財産清算人」について、さいたま市大宮区で30年以上の歴史を持ち、「相続専門チーム」を擁する弁護士法人グリーンリーフ法律事務所が解説を行います。
相続財産清算人とは
相続財産清算人とは
相続財産清算人は、相続人のあることが不明な時に、利害関係人または検察官の申立てによって選任される、相続財産法人の管理・清算人です。
(相続財産法人の成立) 第九百五十一条 相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。 (相続財産の清算人の選任) 第九百五十二条 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の清算人を選任しなければならない。 2 前項の規定により相続財産の清算人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なく、その旨及び相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、六箇月を下ることができない。 (不在者の財産の管理人に関する規定の準用) 第九百五十三条 第二十七条から第二十九条までの規定は、前条第一項の相続財産の清算人 (以下この章において単に「相続財産の清算人」という。)について準用する。 (相続財産の清算人の報告) 第九百五十四条 相続財産の清算人は、相続債権者又は受遺者の請求があるときは、その請求をした者に相続財産の状況を報告しなければならない。 (相続財産法人の不成立) 第九百五十五条 相続人のあることが明らかになったときは、第九百五十一条の法人は、成立しなかったものとみなす。ただし、相続財産の清算人がその権限内でした行為の効力を妨げない。 (相続財産の清算人の代理権の消滅) 第九百五十六条 相続財産の清算人の代理権は、相続人が相続の承認をした時に消滅する。 2 前項の場合には、相続財産の清算人は、遅滞なく相続人に対して清算に係る計算をしなければならない。 (相続債権者及び受遺者に対する弁済) 第九百五十七条 第九百五十二条第二項の公告があったときは、相続財産の清算人は、全ての相続債権者及び受遺者に対し、二箇月以上の期間を定めて、その期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、同項の規定により相続人が権利を主張すべき期間として家庭裁判所が公告した期間内に満了するものでなければならない。 2 第九百二十七条第二項から第四項まで及び第九百二十八条から第九百三十五条まで(第九百三十二条ただし書を除く。)の規定は、前項の場合について準用する。 (権利を主張する者がない場合) 第九百五十八条 第九百五十二条第二項の期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の清算人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができない。 (特別縁故者に対する相続財産の分与) 第九百五十八条の二 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。 2 前項の請求は、第九百五十二条第二項の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。 (残余財産の国庫への帰属) 第九百五十九条 前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。この場合においては、第九百五十六条第二項の規定を準用する。 |
相続財産清算人の業務
家庭裁判所により選任された相続財産清算人の業務は、次の通りとなります。
・相続財産の調査
・相続財産の管理
・相続財産の換価(売却してお金に換えること)
・被相続人の債権者等に対する債務の弁済
・残余財産の、特別縁故者への分配(特別縁故者からの申立てがあり、分与が相当な場合)
・残余財産の国庫への納付
相続財産清算人選任の流れ
相続財産清算人選任の申立て
相続人がいない場合には、相続財産清算人の選任を家庭裁判所に申し立てます。
相続人がいない場合は、
・相続人がいない
・相続人が相続放棄をした場合
・相続人が欠格、廃除事由に該当する場合
が考えられます。
こうした場合に、利害関係人は、家庭裁判所に選任の申立てを行います。
利害関係人とは
以下は、利害関係人として認められる可能性の高い人の例です。
・相続人がいない相続財産に該当する財産(通帳や土地)を管理している人
・相続人がいない被相続人について、特別の縁故を有していると考えられる人
・賃借人が死亡し、死亡した賃借人の相続人がいない場合の大家
・借地人が死亡し、死亡した借地人の相続人がいない場合の地主
・地主が死亡し、死亡した地主の相続人がいない場合の借地人
※類似の事例であっても、利害関係が認められないこともあり得ます。
個別の事案において利害関係人に該当する可能性があるかについては、お近くの弁護士にご相談ください。
相続財産清算人の選任申し立て手続き
相続財産清算人選任の申立てができるのは、利害関係人(被相続人の債権者、特別縁故者、遺贈を受けた人など)と検察官です。
申立人は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に選任の申立てをします。
相続財産管理人とは
2023年5月施行の改正民法では、これまで「相続財産管理人」とされていた管理者が「相続財産清算人」として規定されました。
そして、新しく「相続財産管理人」の制度が設けられましたが、これは、遺産分割が確定する迄などの相続財産の保存などを目的としています。
従いまして、相続人がいない場合には、やはり、相続財産清算人の選任が必要になることが多いと考えられます。
(相続財産の保存) 第八百九十七条の二 家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、いつでも、相続財産の管理人の選任その他の相続財産の保存に必要な処分を命ずることができる。ただし、相続人が一人である場合においてその相続人が相続の単純承認をしたとき、相続人が数人ある場合において遺産の全部の分割がされたとき、又は第九百五十二条第一項の規定により相続財産の清算人が選任されているときは、この限りでない。 2 第二十七条から第二十九条までの規定は、前項の規定により家庭裁判所が相続財産の管理人を選任した場合について準用する。 |
相続財産清算人申立てとグリーンリーフ法律事務所
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴
開設以来数多くの相続に関する案件・相談に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、相続に精通した弁護士が数多く在籍し、また、相続専門チームも設置しています。
このように、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所・相続専門チームの弁護士は、相続案件や相続に関する法律相談を日々研究しておりますので、相続人がいない場合や、不在者財産管理人が必要な場合の相続問題に関して、自信を持って対応できます。
なお、費用が気になる方は、上記HPもご参照ください。
最後に
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、17名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。
ぜひ、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所にご相談ください。