こんにちは。弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の弁護士 渡邉千晃です。
夫婦関係が長くなると、些細な事で喧嘩をしたり、折り合いが悪くなる等をした際に、離婚をしたいという考えが頭によぎることがあるのではないかと思います。
近年では、離婚をする夫婦の割合が増えてきたこともあり、離婚をすること自体、珍しいことではなくなってきています。
離婚を考える男性にとっては、離婚をする夫婦はどのような理由により離婚に至ったのかといった点や、他の夫婦の離婚理由と比べて、自分の離婚理由で離婚をすることができるのかといった点が気になるポイントではないかと思います。
そこで、この記事では、男性が離婚を決めることになった理由を説明したうえで、離婚を決意した場合に注意すべきポイントについて、わかりやすく解説していきます。
離婚の理由3選
夫が離婚を選択するのは、様々な理由があります。
その中でも、よくある主な離婚理由を3つ挙げたいと思います。
⑴ 性格の不一致
離婚理由として最も多いのは、夫婦の性格・価値観が合わないという理由です。
そもそも、夫婦というのは、別々の環境で育った男女が結婚し、共同生活を開始していくものであるため、価値観・性格の不一致が生じるのは、ある意味で当たり前のことと言えます。
長い結婚生活の中で、これまで気にならなかったり、我慢できていたことが、些細な理由により気になりだしたり、我慢できなくなってしまうことが多くなるのではないでしょうか。
価値観・性格の不一致として、よく聞かれるものは、次のようなものになります。
・金銭感覚の違い
・食の好みの違い
・子どもの教育方針・接し方の違い
・生活習慣や衛生管理の考え方の違い
・生活時間が合わない
・性の不一致(セックスレス)など
価値観・性格は、簡単に変えることができる性質のものではないため、それらの不一致によって不和が生じ始めたら、関係の修復を図ることは難しいといえるでしょう。
⑵ 子どもが独り立ちしたから
男性が離婚を決意する理由の中には、子どもが独り立ちし、妻と共に、子育てをする必要が無くなったからというものもあります。
夫が一家の支柱として、家族を支えてきたところ、子どもが成人し、独り立ちしてしまうと、妻と二人の生活に戻ることになります。
その際、これまで、子どものためと思って、離婚したいという気持ちを我慢できていたとしても、子どものことを考える必要が無くなれば、離婚をすることに躊躇う必要がなくなることになります。
子どもが就職や結婚などによって親元から離れたタイミングで、親としての責任を果たしたとして、新しい生活を歩みたいと考えるのは、ある意味で自然なのかもしれません。
⑶ モラハラ・DV
男性が妻との離婚を考える理由として、妻からのモラハラ・DVというものも、意外と少なくありません。
DVなどというと、夫から妻に対するものを考えがちですが、妻からの暴力あるいは精神的虐待は、近年、増えてきています。
言葉による精神的虐待としては、ヒステリックに怒られることや、人格を否定されたり、夫側の家族を悪く言うなどがあります。
妻からのモラハラが日常的にあると、夫は、家庭の中で小さな存在となり、妻から怒られることにおびえる毎日となってしまいます。
家庭が安らぎの場所でなくなってしまうと、子どもにも悪影響が及びかねないことから、離婚を決意することも考えられるでしょう。
離婚をする際に知っておくべきポイント
離婚を決意したとして、簡単に離婚できるものではありません。
離婚を切り出す前には、考えるべきポイントが多くあります。
スムーズに離婚を進めるためには、次のような準備や心構えが必要となります。
⑴ 離婚原因について考える。
まず、離婚をしなければならない理由が夫側か妻側かどちらにあるのかを考えましょう。
協議や調停で離婚がまとまらなかった場合、離婚訴訟を提起しなければなりませんが、民法上認められている離婚事由は、以下の5つの場合しかありません。
・配偶者に不貞行為があったこと
・配偶者から悪意で遺棄をされたこと
・配偶者の生死が3年以上明らかでないこと
・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
・その他婚姻を継続し難い重大な事由があること
すなわち、離婚訴訟になった場合、以上の5つの理由がなければ、離婚は認められないということです。
裁判になった場合、価値観・性格の不一致という理由だけでは、離婚できないことには注意が必要です。
⑵ 離婚のリスク・デメリットを考える。
結婚にメリットがあることの裏返しですが、離婚をすることには、デメリットもあります。
例えば、一人になることで寂しさや孤独感を感じること、世間体が悪いこと、子どもと離れ離れになってしまうおそれがあることなどが考えられます。
一緒にいる間は、煩わしく感じていたとしても、離婚して離れると、これまで感じなかった有難さを感じるようになったというのはよく聞く話です。
離婚をしたときに、自分がどのような生活を送ることになるのか、具体的にイメージしておくことは重要だと考えられます。
⑶ 離婚原因の証拠を押さえる。
妻のモラハラや不貞行為が離婚の原因となった場合は、それらの証拠を確保することが大事になります。
暴言や暴力をされた証拠や、妻が不貞行為を行った証拠があれば、離婚の話し合いの中で、男性側が有利に話を進められるだけでなく、離婚の中で慰謝料を請求できる可能性もあります。
まとめ
以上、男性が離婚を決意する理由や離婚を検討する際のポイントを解説していきました。
離婚について考えたり、協議する際には、感情に任せるのではなく、冷静に対応することを心がけましょう。
また、自分の意見だけを押し付けるのではなく、妻の意見にも耳を傾ける姿勢を示すことも大事です。
もっとも、いきなり妻に離婚を切り出して、あっさりと離婚に応じてくれるケースは、少ないといえるでしょう。
離婚について、当事者だけで協議することが難しいと感じたら、離婚問題に詳しい弁護士に相談してみることをお勧めいたします。