会社を退職した社員が、同業他社に就職したり、自分で会社を作ったりして、在職当時の顧客に対して営業活動をかけることがあります。
このようなことが許されるのでしょうか。
法律の原則を言えば、顧客情報が、会社内で秘密として管理されていない限り、在職当時の顧客に営業活動をかけるのは自由と言うことになります。自由競争社会だからです。
また、秘密として管理されていると言えるためには、
①情報にアクセスできる従業員が制限されており、
②秘密情報であることを従業員が認識できるようなシステムになっていることが必要です。
しかし、顧客情報は従業員で共有しなければならないことが多いので、秘密として管理することはなかなか難しいでしょう。
このような場合に従業員から、退職後、顧客情報を利用して営業しない旨の誓約書を作っておくことが有効です。
これに反して営業をした場合、この誓約書をもとに、損害賠償や差止めを求めることが可能です。
ただ、このような誓約書は、憲法が認める職業選択の自由に反するという面もあるので、営業をしない期間、場所を制限しておくことが必要です。