この記事では、後遺障害11級の認定を受けた方(認定見込みの方)のために、慰謝料金額はいくらか?逸失利益はいくらになるか?など、示談金の相場について解説します。
後遺障害等級11級の慰謝料金額について
後遺障害等級11級が認定された場合の慰謝料金額は、自賠責基準では135万円が上限になります。その金額が多いのか少ないのかは、個人の感覚にもよると思いますが、弁護士が関与する正しい相場ですと、後遺障害慰謝料だけでも420万円になります。
その他に、通院の慰謝料が約80万円以上、逸失利益でも100万円以上を見込みます(年収によって変動する)。
保険会社の提示は、はるかに低いかと思います。保険会社は、慰謝料と逸失利益を合わせて、11級の自賠責の上限である331万円に抑えてくることが多いです。
上記の通り、弁護士が介入した場合は、11級認定の場合は、慰謝料だけでも420万円が相場になります。
後遺障害11級の逸失利益について
後遺障害が残ってしまったが故に、将来得られるはずだったのに得られなくなってしまった収入のことを、「逸失利益」といいます。
逸失利益の基本的な考え方は、1年あたりの基礎収入に、後遺障害によって労働能力を失ってしまうことになると想定される期間(労働能力喪失期間)と、後遺障害によって失われた労働能力の割合(労働能力喪失率)を乗じて計算することになります。
(ただし、将来もらえるはずの金額を、現時点で一括してもらうことになるので、中間利息を控除することになります)
■計算例①■
→年収600万円の47歳のサラリーマン(男性)が11級認定された場合
①600万円×②20%×27年のライプニッツ係数14.8775
=1785万3000円(逸失利益)
■計算例②■
→年収1000万円の60歳のサラリーマンが11級認定された場合
①1000万円×②20%×③6.2303(7年分)
=1246万0600円(逸失利益)
■説明■
上記の①は、基礎年収です。
②は、労働能力喪失率といい、等級により決められています。一覧表をあとで掲載します。
③は、67歳まで労働するという仮定をし、そこにライプニッツ係数をかけます。これは、「労働能力喪失期間」とよばれています。つまり、いつまで働けるかという仮定の期間です。
67歳が上限とされています。
慣れない方にはなかなか難しい計算ですが、これだけの逸失利益が発生するということをわかっていただければと思います。
保険会社によっては、さまざまな理由をつけて、逸失利益の全部または一部を否定してくることもあります。
その場合、交渉や訴訟の中で、事故によって将来の収入が減少すると言えるのかが争点となることもあります。
■労働能力喪失率の表■
等級 | 労働能力喪失率 |
1級 | 100% |
2級 | 100% |
3級 | 100% |
4級 | 92% |
5級 | 79% |
6級 | 67% |
7級 | 56% |
8級 | 45% |
9級 | 35% |
10級 | 27% |
11級 | 20% |
12級 | 14% |
13級 | 9% |
14級 | 5% |
後遺障害の認定について
治療を続けてもそれ以上治療効果がなくなった状態を症状固定といいます。
症状固定後も後遺症が残ってしまった場合には、「後遺障害等級の認定」を受けることができます。
後遺障害等級認定の申請の受付は、自賠責保険会社となります。
自賠責保険会社は、交通事故証明書で、事故相手の欄で確認することができます。
(申請は、事故の相手が加入している自賠責保険にします)
自賠責保険会社は、請求者から送付された書類一式について内容を確認して、必要な書類がすべて揃っていれば、「損害保険料率算出機構」という機関に申請書類を送付します。
損害保険料算出機構は、送付されてきた書類等について内容を審査します。
この機構には顧問医師等もおり、客観的・公平な判断がなされます。
そして、審査結果を自賠責保険会社に報告します。
自賠責保険会社は、損害保険料率算出機構の調査結果を踏まえて、後遺障害等級の等級認定を行います。
このような流れにより、後遺障害の等級が決まります。
なお、後遺障害等級の審査は、基本的には、「書面」のみで行われ、面談を行うことは稀です。
後遺障害の等級は、「自動車損害賠償保障法施行令」で定められています。
等級は、1級から14級にわかれており、1級が一番重く、14級が一番軽いものになっており、等級に応じた賠償金を受け取ることができるようになります。
後遺障害の等級は、慰謝料や逸失利益などの項目の金額に関わるので、非常に重要な手続きであるといえます。
弁護士に依頼するメリット
交通事故で11級の障害を負ってしまった場合、日常生活が不便になると思われます。
したがって、適切な賠償金をきちんと受け取って少しでも通常の生活に戻れるように、弁護士に相談することは重要だと考えます。
ご自身で交渉するよりも、弁護士が代理人として交渉する方が、受け取る賠償額が大きくなることが多いからです。
また、弁護士費用特約があれば、弁護士費用は基本的に任意保険の保険会社に負担してもらえますので、自己負担なく弁護士に相談したり、弁護士に依頼することも可能です。
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、17名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
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