個人事業主の相続で起きる問題点等について解説します

個人事業主をしていた方が死亡し、その方を相続したとき、どのような問題が起こるのでしょうか?
特殊な商売であったり、特殊な機械を扱っている場合には、処分に困ることもあります。
そこで、相続でしばしば起こる問題として、個人事業主の相続で起きる問題点等について解説します。

相続基礎知識の確認

相続基礎知識の確認

まずは、基本的な知識を確認しておきましょう。

相続が発生した場合、基本的には、相続人の間で話し合って遺産分割をすることになります。
ここで問題になるのが、「誰が相続人になるのか」ということです。

法定相続人の範囲

法定相続人の範囲

1 配偶者(夫・妻。なお、相続開始前に離婚した過去の配偶者に相続権はありません)
2 血族

(1)直系血族

①直系尊属:父母・祖父母・曾祖父母・玄祖父母
②直系卑属:子(胎児や養子、非嫡出子も相続人になります)・孫・曾孫・玄孫

(2)傍系血族:兄弟姉妹・姪・甥

民法は相続人の範囲だけでなく、相続分についても規定しています。これを法定相続分といいます。

法定相続分の割合

法定相続分の割合

1 第1順位の相続(被相続人に子があった場合) 

子が1/2、配偶者が1/2を相続(配偶者が死亡している場合には、子が全部)

2 第2順位の相続(被相続人に子がなかった場合)

父母が1/3、配偶者が2/3を相続(配偶者が死亡している場合には、父母が全部)

3 第3順位の相続(被相続人に子がなく、父母は既に死亡している場合)

兄弟姉妹が1/4、配偶者が3/4を相続(配偶者が死亡している場合には、兄弟姉妹が全部)

子や親、兄弟姉妹が数人いる場合には人数で等分することになります。例えば夫が死亡し、妻と子二人がいるような場合には、妻が1/2、子2人がそれぞれ1/4(1/2×1/2)ずつを相続することになります。

個人事業主の相続の注意点

個人事業主の相続の注意点

個人事業主の方の相続は、他の方の相続と比べ、注意すべき点がいくつかあります。

1.まず、多額の借金を負っている可能性があることです。

個人事業の規模にもよりますが、金融機関から融資を受けているかもしれません。事業が大きければ大きいほど、その可能性があります。

買掛金がある可能性もあります。

債務(借金)も相続の対象ですので、しっかりと調べる必要があります。

調べる方法として、確定申告をしていると思うので、確定証明書や帳簿を見てみましょう。

また、取引銀行が判明しているのであれば、督促がくるかもしれませんし、相続人であれば聞いたら教えてもらえます。

2.次に、商品や機械も相続の対象になります。

もしかしたら、倉庫に大量の商品があるかもしれません。

特殊な機械は売れないかもしれません。むしろ、廃棄に費用がかかる可能性もあります。

このあたりも調査する必要があるでしょう。

3.売掛金がある可能性があります。

業種によっては、売掛金があります。

例えば工場を経営していて、納品したけど代金が支払われない等です。

これも相続財産ですので、回収をしましょう。

4.事業が途中で止まっている可能性があります。

配達業者であれば、未配達のものがあるかもしれません。

製造であれば、仕掛かり途中のものがあるかもしれません。

スマートフォンの履歴やメールが参考になる可能性があります。

5.その他注意点

例えば、クリーニング屋や工場を経営していた方であれば、不動産をお持ちかと思います。そうすると、その不動産の土地には、土壌汚染の心配があります。一般に、土壌汚染がある土地は、市場価格よりも安くなる傾向にあります。こうした事情も加味して、遺産の価値として、よく見積もる必要があります。

個人事業主が亡くなった場合の手続き

個人事業主が亡くなった場合の手続き

廃業届

個人事業主が死亡した場合、廃業届を相続人が提出します(所得税法229条に規定あり)。正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。

廃業届は、個人事業主が死亡した日から1ヶ月以内に、開業届を出している税務署に届け出をしなければなりません。

消費税の届出、確定申告等

個人事業主の形態や売上によりますが、個人事業の廃業届出書、事業廃止届出手続、給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出、個人事業主の所得税に係る準確定申告が必要になる場合があります。

相続放棄を検討しましょう

相続放棄を検討しましょう

検討の結果、相続するメリットがない、負債が大きい等の場合、相続放棄をする必要があります。

相続放棄は、こちらで詳しく解説します。

まとめ

まとめ

この記事を見ている方は、遺留分侵害請求でお困りの方や、どうやって請求したら良いかわからないという方かと思います。

そのような場合は、無料で弁護士に相談できますので、お困りの方はご相談ください。

ライン、電話、オンラインでの相談もできます。

■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 申 景秀

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