バイクで交通事故に遭ってケガをしてしまった場合に、加害者(相手)や保険会社に、何のお金をどれくらい請求できるかご存じでしょうか。今回は、どのようなものが「損害」にあたるかをまとめました。バイク事故に遭った方はご参考にしてください。
バイク事故の特徴
バイクで事故にあった場合は、車と違って、体が保護されていないので、体や頭を強く打つ方が多いです。その場合、例えば、以下のような傷病名となります。
1. 頭部のケガ
頭蓋骨骨折: ヘルメットを着用していても、強い衝撃によって頭蓋骨が骨折することがあります。
くも膜下出血等頭部障害: 脳の表面を覆うくも膜の下で出血が起こる状態です。命に関わることもある重篤な状態です。頭部は身体の中でも特に保護が必要な部位であり、ヘルメットで守られていても、強い衝撃を受けると損傷しやすいです。ここから、高次脳機能障害の後遺障害が残る可能性もあります。
2. 脊髄のケガ
脊髄損傷: 脊髄が損傷すると、麻痺や感覚障害、排泄機能障害などの後遺障害が残る可能性があります。
頸椎骨折: 転倒して首の骨が折れることで、脊髄が損傷したり、神経が圧迫されたりする可能性があります。
3. 四肢の骨折
骨折:特に、転倒時に地面に手をついてしまうことで、手首や腕の骨折が多いです。また、膝や高原骨折もよくみます。
脱臼: 肩や肘、膝などが脱臼することがあります。
擦り傷、切り傷: 転倒時にアスファルトなどに擦りむいたり、鋭利な破片で切り傷を負うことがあります。
4. その他
内臓損傷: 腹部に強い衝撃が加わると、内臓が破裂したり出血したりすることがあります。
熱傷: エンジンやマフラーに触れて、やけどを負うことがあります。
バイク事故の保険金について積極損害とはなにか
積極損害について
積極損害とはなんでしょうか。積極損害とは、交通事故に遭ったことにより、被害者が現実的に出費せざるを得なくなった損害(出費)のことです。
これは、賠償(保険金)の対象になります。
賠償は、項目ごとに計算をします。
一般的積極損害としては、治療関係費、入院雑費、交通費、付添看護費、将来の介護費用、装具・器具購入費等、家屋等改造費、葬儀関係費、その他文書料などです。
以下では、積極損害として認められる可能性のある損害をご紹介します。
治療関係費
治療費や入院費は、「必要かつ相当」な範囲で実費が認められるとされています。したがって、特殊な治療をうけても、「相当では無い」と判断されることもあります。
症状固定の後の治療費は、原則として認められません。もっとも、症状の内容・程度に照らして必要かつ相当なものは認めた例があります。
入院中の特別室使用料(個室ベッド)は、医師の指示があった場合や、症状が重篤であった場合、空室がなかった場合等の特別な事情がある場合にかぎり、認められる余地があります。
整骨院・接骨院の施術費用は、医師の指示の有無が重要で、それを参考にして、相当額のみ認められます。針灸、マッサージ、温泉治療も同様です。
入院雑費
1日あたり1500円の額を基準とします。
交通費
入退院や通院の交通費は実費となります。ただし、タクシーの場合は、ケガの程度によります。よく、むちうちの症状で、病院にタクシーに通う方がいて、保険会社とトラブルになっています。むちうちで歩けないということは滅多にないので、タクシー代は、急性期ならまだしも、そういったケースでは認めるのが難しくなってきます。
自家用車利用の場合は、1㎞あたり15円でガソリン代を認めます。
※近年、ガソリン代が高騰化していますが、実務では、1㎞15円で変る気配はありません。
近親者の付添やお見舞いの交通補は、原則として認められません。どうしても必要な場合のみということになります。
付添看護費
必要があれば入院または通院の付添費用は損害とされていますが、医師の指示、症状の程度・被害者の年齢等から検討されます。乳幼児の場合は、認められる傾向にあります。
職業付添人(外部委託、外部業者)が必要な場合は、実費が認められます。
家族等の近親者が付添人となる場合には、1日につき6000円が損害として認められます。
病院が完全看護体制を採っていても、内容によっては家族の付添費用が認められます。
通院付添費は、家族等の近親者が付き添う場合には、1日につき3300円とされています。
将来の介護費
症状固定後でも、被害者の介護が必要な場合は、症状の程度に応じた必要かつ相当な範囲で、将来介護費が認められる可能性があります。
職業付添人の場合は、原則として、平均余命までの間、必要かつ相当な実費となります。
近親者による付添の場合は、常時介護と認められれば1日につき8000円、随時介護(入浴、食事、排せつ等、行動の一部について介護を要する場合)の場合は、介護の程度に応じて相当額を損害と定めます。
身体介護だけではなく、看視的付添を要する場合も、認められるケースがあります。
グリーンリーフ法律事務所では、高次脳機能障害の事例を多数経験しており、得意としています。高次脳機能障害の場合は、1級や2級に該当することもあり、将来の介護費用をきちんと取れるかどうかで、賠償額(保険金)に差がでます。 お困りの方は、一度ご相談ください。 |
装具・器具等購入費
装具・器具等の購入費用については、症状の内容・程度に応じて、必要かつ相当な範囲で認められます。
車椅子・義手・義足・電動ベッド・歩行具、車いす、サポーター等がよくあてはまります。
一定期間で交換が必要なものは、将来の費用も加算されます。
※将来の装具・器具購入費用は、取得額相当額を基準に、使用開始の時及び交換時期に対応して、中間利息を控除する
→難しいの、装具の買換が必要な場合は、ご相談ください。
家屋改造費等
家屋改造費、自動車改造費、調度品購入費、転居費用、家賃差額等は、後遺症の程度・内容等により、必要性かつ相当な範囲で損害として認められます。
当然、改造の必要があることが客観的にわかることが重要で、例えば、高次脳機能障害による1級の場合は、自宅にいるといままでのレイアウトでは生活ができないので、家屋改造が必要でしょう。施設に入る予定なのに、改造費がでるかという論点もあります
難しい論点です。
葬儀関係費
交通事故により、被害者が死亡した場合は葬儀費用が損害として認められます。
原則として150万円です。ただし、150万円を下回る場合には、実際に支出した実費額が損害とされます。
遺体運送料が認められたケースもあります。
もっとも、150万円以上は一切認められないというものでもなく、被害者の年齢・職業・地
バイク事故における逸失利益などの損害
慰謝料や後遺障害がこれにあたります。
慰謝料
バイクで、交通事故にあって、入院・通院をしたら「入通院慰謝料」をもらうことができます。
また、後遺障害が残ったら、「後遺障害慰謝料」が別で請求できます。
「慰謝料はいくらもらえるのか?」「慰謝料の相場はいくらか?」「保険会社から提示された慰謝料は正しいのか?」と疑問を持つ方も多いかと思います。
色々な基準がありますが、まずは、以下の表が、「正しい相場」になります。
骨折を伴う重傷の場合は、別表1をみます。
むちうちや捻挫のみの場合は、別表Ⅱをみます。
赤本別表 Ⅰ
赤本別表 Ⅱ
●表の見方
・入院のみの方は、「入院」欄の月に対応する金額(単位:万円)となります。
・通院のみの方は、「通院」欄の月に対応する金額となります。
・両方に該当する方は、「入院」欄にある入院期間と「通院」欄にある通院期間が交差する欄の金額となります。
(別表Ⅱの例)
①通院6か月のみ→89万円
②入院3ヶ月のみ→92万円
③通院6か月+入院3ヶ月→148万円
例えば、骨折で6か月通院したのに、保険会社の提示が、60万円であれば、それは正しくありません。上の表ですと、116万円が正しい数字です。
ただし、過失割合によっては、慰謝料金額が低くなります。
バイク事故の後遺障害について
後遺障害は、1級から14級まであります。
バイク事故の場合は、鎖骨骨折が多く、その場合は12級の認定が多いです。
「後遺障害慰謝料」は、うえで見た通院慰謝料とは別でもらえます。
下の表が正しい相場です。
保険会社の提示が合っているか確認してみてください。
後遺障害等級 | 裁判基準 |
---|---|
第1級 | 2,800万円 |
第2級 | 2,370万円 |
第3級 | 1,990万円 |
第4級 | 1,670万円 |
第5級 | 1,400万円 |
第6級 | 1,180万円 |
第7級 | 1,000万円 |
第8級 | 830万円 |
第9級 | 690万円 |
第10級 | 550万円 |
第11級 | 420万円 |
第12級 | 290万円 |
第13級 | 180万円 |
第14級 | 110万円 |
つまり、鎖骨骨折で12級が認められた場合は、後遺障害慰謝料だけでも、290万円の賠償金になるということです。
弁護士に依頼するメリット
ケガが大きくなると、保険会社と争いになることがほとんどです。
弁護士に依頼をすることによって、これらの交渉や手続、裁判を代理で行うことができます。
また、弁護士特約に加入されている場合は、弁護士費用が原則として300万円まで保険ででます。
こうした事がメリットになります。弁護士特約に加入している場合は、法律相談費用もでますので、まずは相談すると良いでしょう。
また、バイクは過失割合で揉めやすい類型になります。過失割合についても、専門家である弁護士にお任せください。
ご相談 ご質問
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、17名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。入院中でお悩みの方や、被害者のご家族の方に適切なアドバイスもできるかと存じますので、まずは、一度お気軽にご相談ください。