LINEの国内ユーザー数が約9600万人(令和5年12月時点)と、国民のほとんどがLINEを使用している昨今、パートナーのLINEの履歴から不倫が発覚するケースは少なくありません。
LINEの履歴からパートナーの不倫が発覚した場合、不倫相手に対して慰謝料請求をしたいと考える方がいらっしゃるかと思います。
本ページは、「不倫相手に対して慰謝料請求をする場合にどうすればいいのか?」、「LINEの履歴は不倫の証拠として使えるのか?」などのお悩みの方向けに専門家が解説するページとなっております。
そもそも不貞(不倫)慰謝料請求とは?基礎知識について解説
不貞行為とは、「配偶者ある者が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」と定義されております。
この「性的関係を結ぶ」とは、肉体関係を持つことを意味します。
不貞行為は、配偶者の「婚姻共同生活の平和の維持」という人格的利益を侵害する行為であり、一方配偶者は、不貞行為に及んだ他方配偶者及び不貞相手に対して慰謝料請求をすることができます。
LINEのトーク履歴は不倫の証拠になる?
不貞を理由とする慰謝料請求をするためには、もちろん不貞行為を証明する証拠が必要です。
証拠の例を挙げますと、配偶者が不倫相手と一緒にホテルに出入りした写真や動画などがあります。
LINEのトーク履歴も、もちろん不倫の証拠になります。
もっとも、ラインのトーク履歴でもって不貞行為があったことを証明するためには、やり取りから知人関係を超えた、性行為を伴う男女関係、つまり「肉体関係を持っている」事実が推認できる必要があります。
それでは、具体的にどのようなやり取りをしていれば、「肉体関係を持っている事実」が推認されると考えられるのか、下記のとおり解説いたします。
不倫の証拠として使えるやり取りとは?
1 肉体関係があったであろう内容のLINE
例えば、性行為があったことを示す会話、ホテルで一緒に写った写真、裸で一緒に写った写真・動画のやり取りは、「肉体関係を持っている事実」が推認されると考えられます。
また、「○日○時にラブホテルで待ち合わせしよう」とのやり取りがある場合、一般的に、待ち合わせをした後に肉体行為を持ったと推認できると考えられます。
2 2人で宿泊したであろう内容のLINE
性行為について触れていない場合でも、異性2人が一緒に宿泊したということは、肉体関係があったことを強く推認させると考えられます。
他方で、2人で食事に行ったことを示す会話だけでは、不貞関係の証拠としては弱くなると考えられます。
3 その他
その他に、「愛している」、「早く離婚してずっと一緒にいようね」などのやり取りは、両者が親密な男女関係にあることを示しますので、不貞行為立証の証拠となります。
このような内容のやり取りのほかに、実際にいつ・どこで肉体関係を持ったのか裏付ける資料を集めることでより不貞行為の事実が認められると考えられます。
LINEのトーク履歴の他に、不倫の証拠になるものはなに?
1クレジットカード・交通ICカードの利用履歴
配偶者が不貞相手と行った場所、その頻度などを調べるきっかけになります。
宿泊日やホテルなどを特定することができれば、SNSなど他の証拠と結び付けることで不貞行為を裏付ける証拠になると考えられます。
2行楽地で手をつないでいる写真など、男女の関係があると思わせる写真
写真について、撮影日が連続している場合には、宿泊していることを裏付ける証拠としても使える可能性がありますので、写真の内容だけではなく、撮影日に着目することをお勧めします。
写真は、スマホ・パソコンに保存されていることが多いですが、証拠を見つけるために配偶者に無断でスマホ等を見ることでトラブルの原因になりますので、データの取り扱いにはご注意ください。
LINEのやり取りを不倫の証拠として残す方法
次に、LINEのやり取りを不倫の証拠としてどのように残すべきかについて解説いたします。
1 自身のスマホでそのLINE履歴を撮影
スクリーンショットの方法もありますが、「スクショ画像が偽造して作成された画像である」と反論される可能性がありますので、自身のスマホでそのLINE履歴を撮影することをオススメします。
LINE履歴を撮影するのポイントについて
(1)日付、時間、送信者が分かるように撮影すること!
不貞行為が、「いつ」「どこ」で行われたのかを証明するためにも、やり取りが行われた日時がわかるように撮影することが必要です。
また、誰とのやり取りであるかも重要ですので、送信者のアカウントが分かるように撮影することをオススメします。
(2)やり取りが長い場合は、前後が分かるように連続撮影すること!
やり取りを分割して撮影する場合、途切れ途切れに撮影してしまうとやり取りが続いていることがうまく伝わらないことがあります。
そこで、分割して撮影する場合は、文頭と末尾の数行が重複するように写しましょう。
また、スクロールさせていく様子を動画撮影することも有効です。
(3)スマホ全体が写るように撮影すること!
誰のスマホを撮影していることが分かるように、スマホ本体の形状や機種がわかるように写真を撮っておくことが必要です。
2 相手の合意の上でLINEを見せてもらう
相手に無断でスマホの隠し撮りをした場合、トラブルが発生する可能性がございます。
そこで、パートナーを説得して本人から見せてもらう必要がある場合があります。
その場合は相手を説得したり、不貞行為のほかの証拠を突き付けたりすることで、相手が自らスマホを差し出すことが考えられます。
LINEのやり取りを勝手に見ることは違法なの?
相手のLINEを無断に見ること自体は、刑法上犯罪に当たりません。
もっとも、プライバシー侵害を理由に損害賠償請求してくる可能性がありますが、不倫の疑いがある場合には、損害賠償の程度は低いと考えられます。
また、LINEの証拠を掴もうとして相手のスマホを開いた場合、プライバシーの侵害にあたる可能性もありますが、「不倫の証拠」としての有効性には影響を及ぼしません。
自分のスマホやパソコンから相手のIDやパスワードを無断使用してログインしたり、アプリを開いたりする行為は、不正アクセス行為(不正アクセス禁止法2条4項1号)に該当し、不正アクセス禁止法違反に該当します(同法3条)。
不正アクセス行為については、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が定められており(不正アクセス禁止法11条)、刑事罰を受ける可能性がありますのでご注意ください。
不倫の証拠が揃った場合の慰謝料請求の流れについて
LINE履歴など不倫の証拠が揃った場合、不貞相手及び他方配偶者に対し、慰謝料請求することになりますが、以下では請求の流れについて解説いたします。
1 書面による請求
まず、第一段階としては、「内容証明郵便」で慰謝料請求をすることが一般的です。
内容証明郵便は、「誰が、誰に、どんな内容で、いつ送付したのか」が証明できます。
もちろんご自身で作成して送付することもできますが、内容の不備があったり相手にプレッシャーを与えられなかったりするリスクがあることから、弁護士に作成依頼をすることをオススメします。
その後、相手方と書面や電話でのやり取りを経て、交渉でもって解決するケースもございます。
2 訴訟による請求
交渉によって解決が難しい場合には、慰謝料請求訴訟をする方法が考えられます。
その際に必要な書類として、訴状・証拠・訴訟印紙代等あることから、弁護士に依頼をすることで負担軽減をすることができます。
まとめ
LINE履歴は、不倫の証拠の1つになりますが、他の証拠を積み重ねることでより「不貞の事実が認められると考えられます。
もし、配偶者のLINEから不倫と思われるやり取りを見つけた場合には、お伝えした方法でもって撮影して「証拠として残す」ことをオススメします。
不貞慰謝料請求についてお悩みがある方は、まず弁護士にご相談ください。
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、17名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。