親権者ではない方が親権者に対して、子どもが経済的に自立するために必要な費用、つまり「養育費」を支払わなければいけません。
養育費の金額は、基本的に双方の年収に基づき計算されます。
本ページは、「自身の年収が600万円の場合、いくら養育費を支払うことになるのか?」、「養育費を減額できる場合はあるのか?」などのお悩みの方向けに専門家が解説するページとなっております。
そもそも「養育費」とは?
養育費とは、まだ社会的に自立できないとされる子ども(いわゆる「未成熟子」)を監督保護・教育するために必要な費用を指します。
民法上、子が18歳に達した場合「成人」と位置づけられますが、原則として子が満20歳になるまで養育費を支払う必要があります。
たとえ、離婚後親権者でなくなったとしても、親子関係がなくなるわけではありません。
法律上、父母が離婚するときには、子どもの監護に要する費用の分担について協議で定めるものとされています。
養育費の額はどうやって決めるのか?
養育費の額は、通常、令和元年に裁判所が公表した改定標準算定表に基づき決める場合が多いです。下記URLをご参考ください。
(https://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/index.html)
算定表の見方について、簡単ではございますがご説明いたします。
1 子供の人数、年齢に合った表を選ぶ
各算定表には、「子1人(0歳~14歳)」、「子2人(ともに15歳以上)」などといった表がありますので、ご家庭の子どもの人数・年齢に合った表を選びましょう。
2 義務者と権利者の年収を確認する
表を見つけたら、次に支払う側(義務者)と受け取る側(権利者)の年収を確認しましょう。
年収の金額は、原則として以下のような書類を基に決めます。
会社員→直近で発行された源泉徴収票に記載されている「支払金額」
自営業者→直近で申告した確定申告書の「課税される所得金額」に、実際に支出されていない各種控除(基礎控除、青色申告控除、支払がされていない専従者給与など)を加えた金額
3 算定表で養育費の額を確認
双方の年収を確認しましたら、権利者の年収部分(表の下部分)から上に線を伸ばし、義務者の年収部分(表の左部分)から右に線を伸ばして、二つの線が交わったところに記載された金額が、養育費の相場となります。
義務者の年収が600万円の場合、養育費の相場はいくら?
それでは、実際に算定表に基づき養育費がいくらになるのかご説明いたします
(義務者=会社員を想定した金額)
子が1人の場合(0歳~14歳)
他方配偶者の年収が 0円の場合→月8万円程度
他方配偶者の年収が100万円の場合→月7万円程度
他方配偶者の年収が200万円の場合→月6万円程度
他方配偶者の年収が300万円の場合→月5万円程度
子が1人の場合(15歳以上)
他方配偶者の年収が 0円の場合→月9万円程度
他方配偶者の年収が100万円の場合→月8万円程度
他方配偶者の年収が200万円の場合→月7万円程度
他方配偶者の年収が300万円の場合→月6万円程度
子が2人の場合(2人とも0歳~14歳)
他方配偶者の年収が 0円の場合→月11万円程度
他方配偶者の年収が100万円の場合→月9万円程度
他方配偶者の年収が200万円の場合→月8万円程度
他方配偶者の年収が300万円の場合→月7万円程度
子が2人の場合(1人は0歳~14歳、もう1人は15歳以上)
他方配偶者の年収が 0円の場合→月12万円程度
他方配偶者の年収が100万円の場合→月10万円程度
他方配偶者の年収が200万円の場合→月 9万円程度
他方配偶者の年収が300万円の場合→月 8万円程度
子が2人の場合(2人とも15歳以上)
他方配偶者の年収が 0円の場合→月13万円程度
他方配偶者の年収が100万円の場合→月11万円程度
他方配偶者の年収が200万円の場合→月 9万円程度
他方配偶者の年収が300万円の場合→月 8万円程度
子が3人の場合(3人とも0歳~14歳)
他方配偶者の年収が 0円の場合→月13万円程度
他方配偶者の年収が100万円の場合→月11万円程度
他方配偶者の年収が200万円の場合→月10万円程度
他方配偶者の年収が300万円の場合→月 9万円程度
子が3人の場合(1人が15歳以上で、他2人は0歳~14歳)
他方配偶者の年収が 0円の場合→月14万円程度
他方配偶者の年収が100万円の場合→月11万円程度
他方配偶者の年収が200万円の場合→月10万円程度
他方配偶者の年収が300万円の場合→月 9万円程度
子が3人の場合(2人が15歳以上で、他1人が0歳~14歳)
他方配偶者の年収が 0円の場合→月14万円程度
他方配偶者の年収が100万円の場合→月12万円程度
他方配偶者の年収が200万円の場合→月10万円程度
他方配偶者の年収が300万円の場合→月 9万円程度
子が3人の場合(3人とも15歳以上)
他方配偶者の年収が 0円の場合→月15万円程度
他方配偶者の年収が100万円の場合→月12万円程度
他方配偶者の年収が200万円の場合→月11万円程度
他方配偶者の年収が300万円の場合→月10万円程度
養育費が減額されるのはどのような場合か?
裁判実務上、養育費に関する取り決めをした後に「事情変更」があった場合、養育費の減額が認められるケースがございます。
以下では、支払う側についてどのような事情変更が生じた場合、養育費の減額が認められるのか解説いたします。
1 収入が大幅に減少した場合
明確な基準はありませんが、裁判実務上「2割程度」減少した場合、養育費の減額が認められるケースがあります。
もっとも、減額が認められるか否かは、収入減少の理由(たとえば、会社の都合によりやむを得ない減収、転職による減収)等も含めて総合的に判断されます。
また、養育費の取り決めの際に収入減少について予測できた場合には、「事情変更」には当たらないとされています。
2 再婚し扶養家族が増えた
再婚した場合、①再婚相手、②再婚相手との間に生まれた子、③再婚相手の連れ子と養子縁組した場合におけるその子ども、に対して扶養義務を負うことになります。
再婚、養子縁組は自身の自由な意思に基づくものではありますが、通常は養育費の減額が認められる「事情変更」と考えられています。
もっとも、養育費の取り決めの際に、既に再婚相手と交際していた場合などは、再婚して扶養家族(再婚相手・養子)が増えることは予測の範囲内といえるため、「事情変更」に当たらず養育費の減額が認められない可能性があります。
養育費の請求はどのような方法があるのか?
1 当事者間で話し合う
まずは、当事者間で養育費に関する話し合いをしてみましょう。
話合いの結果、養育費の金額や支払方法、支払期間などを決めることができた場合には書面に残すことをお勧めします。
2 家庭裁判所に離婚調停を申し立てる
当事者間での話し合いが難しい場合には、「離婚調停」を申し立て、その中で養育費について話し合うことになります。
なお、養育費は、「離婚後」に請求できるものですので、離婚前に養育費請求調停を申し立てることはできませんのでご注意ください。
調停では、裁判所が選任した2名の調停委員が中立的な立場で、双方の主張を聞きつつ双方にとって折り合のつく離婚条件を整えることをします。
調停期日では、調停委員が各当事者を別々に呼び出し、30分程度の面談を行います。そして、交互に2回程度ずつ行う流れで進行するのが一般的です。
基本的には、2名の調停委員とやり取りするのみで、配偶者と直接顔を合わせることはありませんので、相手方と顔を合わせることに不安の方は安心して調停に臨むことができます。
調停では、調停委員から、収入資料の提出を求められることがあります。
その後、お互いの収入資料でもって養育費の金額を算出されますが、話し合いでもって調整される場合もございます。
なお、一度決まった養育費でも、その後の事情に変更があり、養育費の取り決めの変更を求めたい場合には、「養育費の変更を求める調停」を申し立てることもできます。
まとめ
以上、自身の年収が600万円の場合に支払わなければならない養育費の相場等について解説いたしました。
「養育費についてなかなか話がまとまらない」などのお悩みがある方は、一度弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士であれば、代わりに配偶者へ連絡し、交渉や裁判所の手続などを行うことができます。
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グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、17名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
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