薬局でなく、衣料品を販売するお店でも、着圧サポーターは広く販売されています。
これらは、単に衣服ではないか?とも思われますが、薬機法に違反しないか注意をする必要があります。
こんなところでも薬機法に注意しないといけないの?と思われるかもしれませんが、しっかりと注意をしておかないと法律違反になる可能性もあります。
ここでは、着圧サポーターを販売する際の注意について解説します。
サポーターの法律上の位置づけ
サポーターはその効果によって、法律上の位置づけが異なってきます。
位置づけとしては、①医療機器もしくは②雑品の2つとなります。
①医療機器とは
医療機器とは、薬機法で定められているもので、「人若しくは動物の疾病の判断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であって、政令で定めるものをいう。」と法律では規定されています。
実際には、人体の健康に影響を与える器具などを医療機器に当たると判断しております。
一口に医療機器といっても、人体に大きな影響を与えるものもあれば、あまり影響しないものもあります。
そこで、医療機器について薬機法ではクラス分けがされております。
一般医療機器(クラスI)
一般医療機器は、薬機法にて「副作用又は機能の障害が生じた場合においても、人の命や健康に影響を与えるおそれがほとんどないもの」と定められています。
具体的には、ピンセットや聴診器、絆創膏などがあたります。
管理医療機器(クラスII)
管理医療機器とは、「副作用又は機能の障害が生じた場合に人の生命及び健康に影響を与えるおそれがあるもの」と定められています。
具体的には、電子体温計、補聴器、電子式血圧計などがあたります。
高度管理医療機器(クラスIII、IV)
高度管理医療機器とは、「副作用又は機能の障害が生じた場合に人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるもの」と定められております。
具体的には、当的危機、コンタクトレンズ、ペースメーカーなどがあたります。
②雑品
雑品とは、法律上の定義はありませんが、用語としては医薬品や医薬部外品、医療機器など薬機法の定義に当てはまらない器具のことを指すことが多いです。
つまり、薬機法の対象外の商品一般を指すことが多いです。
サポーターは①②どちらにあたる?
このように医療機器と雑品という区別があるところ、サポーターはその効用によって、このいずれに当たるかが異なります。
医療機器に当たる場合、製造に届け出が必要となりますから、この区別は大きな違いを生みます。また販売する際に一般医療機器であることの表示が必要となります。
この2つの区別としては、やはり「人体の健康に影響を及ぼすかどうか」という点で判断されます。
具体的には、関節痛の緩和や血行促進、矯正などの効果がある場合には、人体の健康に影響を及ぼしますから、医療機器に当たります。
一方、単に部位を圧迫するのみであれば、人体の健康に影響を及ぼしませんから、雑品にあたります。
このようにサポーターの効果によって、区別がなされますので、注意が必要です。
なお、サポーターだけではなくレギンスやソックスなどでも同様のことが言えますので注意が必要となります。
サポーターの広告規制
ここまでサポーターの法律上の位置づけを確認してきましたが、問題となるのは、雑品であるのに医療機器としての効果があるように宣伝することです。
そもそも薬機法は、医薬品や医療機器などの品質や有効性、安全性を確保することで広く国民の生命や健康を守ることを目的としております。
本来、医療機器ではないのに、医療機器であるかのような宣伝をすると、こうした法律の趣旨に反します。
そのために、医療機器に当たるならば、その旨の表示させたり製造に届出を求めていたりと、法律上の規制がなされているのです。
そこで、ここでは雑品にあたるサポーターで行うべきではない宣伝について解説します。
やってはいけない広告
雑品にあたるサポーターでは、体に変化を与える文言を記載することは禁じられます。
なぜなら、体に変化を与えるということは、「人体の機能に影響を及ぼすこと」になり、薬機法の規制範囲内に入るからです。
たとえば、「着用すれば間接痛がやわらぐ!」「血行が促進され、痛みがなくなる!」などの文言は、体への影響について述べておりますから、雑品である以上、やるべきではありません。
対して、単に着用している際に得られる物理的な特徴のみに言及することは認められます。
たとえば、「快適なつけごこち」「足をサポートします」という文言であれば問題はないかと思われます。
言葉遊びのようにも思えますが、体に影響を与えないとされている雑品で人体への影響について言及することは避けるべきです。
まとめ
ここまで、薬機法に違反しないために、サポーターに着目して医療機器と雑品について解説いたしました。
薬機法は、法律を読んでも難解な用語が多く、一方で、これは規制に反しないだろうと思って誇大広告などをしてしまい、知らぬ間に違法なことを行ってしまう可能性がある難しい分野です。
薬機法に違反しないかなど、きちんとした判断をするには専門的な知識が必要となります。
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