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夫婦が婚姻しているのに不貞行為を行った場合、不貞をされてしまった配偶者は、不貞行為を行った配偶者と不貞相手に対して慰謝料請求をすることができます。それでは、慰謝料が認められる「不倫」とはどのようなものを指すのでしょうか。
そもそも「不倫」とは何か
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「不倫」というのは、法律用語ではありません。民法770条1項1号において、離婚事由として規定されている「不貞」のことを指します。不貞の意義として、最高裁判所は以下の様に示しています。
離婚事由としての「不貞」
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最高裁第一小法廷昭和48年11月15日(判例タイムズ第303号141頁)
民法770条1項1号の不貞行為の意義について、「配偶者ある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいうのであって、この場合、相手方の自由な意思にもとづくものであるか否かは問わないものと解する」と判示しています。
つまり、「配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」を不貞といいます。
そのため、恋人同士で、相手が浮気した場合には「不貞」とは言えません。事実婚や婚約などの間の関係もありますが、個別具体的な関係性によって判断されるため、一概な説明はしにくいところです。
慰謝料請求の対象となる「不貞」
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不貞訴訟における裁判例を見る限り、裁判所は不法行為と評価されるべき不貞行為の意味を、離婚訴訟におけるのとは異なって、上記のように限定的には考えていません。必ずしも性的関係・肉体関係を要求していないものも見られるのです。
まとめ
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このように、同じ「不貞行為」と言っても、それが離婚事由になるのかという場面と、それが不倫相手に対する慰謝料請求の根拠になりうるのかという場面とで、その意味が異なるのです。
裁判例を踏まえた具体的な線引き
愛情表現を含むメールやLINEを送信することは不貞行為(不法行為)か
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「あいたいよ」「大好きだよ」などの愛情表現を含む内容のメールやLINEを送ること自体が不法行為となるかが問題となった事案です。
東京地方裁判所平成24年11月28日
認容(慰謝料30万円)
「このようなメールは、性交渉の存在自体を直接推認するものではないものの、相手が相手配偶者に好意を抱いており、配偶者が知らないまま相手配偶者と会っていることを示唆するばかりか、相手と相手配偶者が身体的な接触を持っているような印象を与えるものであり、これを配偶者が読んだ場合、配偶者らの婚姻生活の平穏を害するようなものというべきである。」
東京地方裁判所平成25年3月15日
棄却(慰謝料は認められない)
「たしかに、性交又は性交類似行為には至らないが、婚姻を破綻に至らせる蓋然性のある他の異性との交流・接触も、当該異性の配偶者の損害賠償請求権を発生させる余地がないとはいえない。しかしながら、私的なメールのやり取りは、たとえ配偶者であっても、発受信者以外の者の目に触れることを通常想定しないものであり、配偶者との間で性的な内容を含む親密なメールのやり取りをしていたことそれ自体を理由とする相手方に対する損害賠償請求は、配偶者や相手方のプライパシーを暴くものであるというべきである。・・・メールの内容に照らしても・・・婚姻生活を破綻に導くことを殊更意図していたとはいえない。したがって、損害賠償請求を正当化するような違法性を有するものではないとみることが相当であり、不法行為の成立を認めることはできない。」
手をつないで歩くことは不貞行為(不法行為)か
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手をつなぐ行為そのものではなく、その状況等によって不貞行為があったと推認できる場合とできない場合があり、それによって判断が分かれます。そのため、手をつないだことそれ自体が不貞行為を判断されたわけではありません。
東京地方裁判所平成17年11月15日
認容
「狭い一室に男女が数日間にわたり同宿し、戸外に出た際には体を密着させて手をつないで、歩いていたこと等からして、(二人)との聞には肉体関係があったと認めるのが相当」
東京地方裁判所平成20年10月2日
棄却(慰謝料は認められない)
「原告は、関係者の目撃状況をいうが、仮に、関係者の目撃した夫と一緒にいた女性がすべて被告であり、原告の主張するように夫がその女性と手をつないでいたとしても、そのことから当然に不貞関係の存在が推認されるものではない。」
面会行為が不貞行為(不法行為)となるか
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配偶者が相手と秘密で会ったりメールやLINEのやり取りをしたりした行為を違法な交際だと主張して争われた裁判例があります。
東京地方裁判所平成21年7月16日
アルバイトのホステスである被告は、夫に妻がいることを知りつつ、同伴出勤やアフターを頻繁に行ったほか、勤務時間外にしばしば2人で、会っていました。そして、週に3,4回は昼間に会って昼食を共にし、週に3回は夕食を共にしたほか、映画を一緒に鑑賞し、喫茶をするなどしていました。
棄却(慰謝料は認められない)
「(これら各行為は)原告と夫との婚姻関係を破綻に至らせる蓋然性のある交流、接触であるとは認め難く、婚姻共同生活の平和を侵害する蓋然性があるとはいえないから、不法行為に当たらない。」
東京地方裁判所平成25年4月19日
かつて夫と不貞関係にあった被告が、深夜の時間帯に夫と面会していた事案です。
認容
「深夜の時間帯に○○等において夫と面会していた被告の行為は、被告が夫と再び不貞関係を再開したのではないかとの疑いを抱かせるのに十分な行為であり、原告と夫の婚姻関係を破綻に至らせる蓋然性のある行為であると認められるから、かかる被告の行為は、原告に対する不法行為に該当するものと認めるのが相当」である。
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