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労働災害に遭ってしまい、働けなくなってしまったときには、休業補償をもらうことができますが、「休業補償給付支給請求書(様式8号)」という書類を提出する必要があります。今回は、「休業補償給付支給請求書(様式8号)」について解説します。
1 労働災害とは
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労働災害とは、労働者が、労働をしている時や通勤の途中に起きた事故によって、ケガをする、病気になる、あるいは、お亡くなりになることをいいます。
労働者には、正社員のみならず、パートやアルバイト、契約社員などの形態により雇用されている方も対象に含まれます。
具体的なケースとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 工場での作業中に、プレス機に腕を挟まれて大ケガを負った。
- 高所での現場作業において、足場が滑って転落し、腕を強く打ち付けた。
- 長時間のデスクワークにより脳出血や脳梗塞を発症した。
- 他の従業員による重機の操作ミスにより、下敷きになり死亡した。
- 会社を退勤した後、車で帰宅していたところ交通事故にあった。
2 労災事故の発生から労災補償給付を受けるまでの流れ
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⑴ 労災保険への申請
「労働者災害補償保険法」という法律の第1条は、次のように規定しています。
「労働者災害補償保険は、業務上の事由、(中略)又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由、(中略)又は通勤により負傷し、又は疾病にかかつた労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もつて労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。」
このように、労災保険は、労働者が仕事中(通勤途中も含みます。)にケガをしたり、病気になったとき、お亡くなりになったときに、必要な補償を受けられるようにして、労働者やご遺族の生活を守る制度です。
そのため、企業には、労災保険への加入が義務付けられています。
そこで、労働災害が発生したときには、労働基準監督署に対し、労災保険給付を申請することになります。
⑵ 労災が認定される要件
業務中に発生した事故が労災として認められるためには、「業務遂行性」と「業務起因性」という2点がポイントになります。
「業務遂行性」とは、労働者が事業主の支配ないし管理下にある中で起きた事故である、ということを言います。
例えば、工場内での作業中におけるケガにより、腕を切断することになったということであれば、業務遂行性が認められることは多いのではないかと思われます。
「業務起因性」とは、業務に伴う危険が現実化したこと、つまり、業務と結果(ケガや病気、死亡)の間に因果関係があることを言います。
工場や現場で作業している最中の事故であれば、一般的には業務起因性は認められやすいと思われます。
一方で、本人の私的行為、業務から逸脱した行為、規律に違反する行為等は、業務起因性を否定する事情になりえます。
⑶ 労災が発生した場合の給付請求の方法
給付の内容に応じて、労働基準監督署へ給付申請を行うことになります。
申請後、労働基準監督署の判断を経て、支給の決定がなされれば、給付を受けることができます。
例:
①療養(補償)給付
労災病院や労災指定病院等を受診・治療する場合には、当該病院に「療養(補償)給付たる療養の給付請求書」を提出し、請求します。
それ以外の医療機関を利用して受診・治療した場合には、費用を立て替えた上で、労働基準監督署に「療養(補償)給付たる療養の費用請求書」を提出し、請求します。
例えば、治療費や薬代、器具の費用、施術費用などが給付の対象になります。
②休業(補償)給付
労働基準監督署に「休業(補償)給付支給請求書」を提出し、請求します。
③障害(補償)給付
労働基準監督署に「障害(補償)給付支給請求書」を提出し、請求します。
④傷病(補償)年金
労働基準監督署が職権で行うため、請求は必要ありません。
⑤介護(補償)給付
労働基準監督署に「介護(補償)給付支給請求書」を提出し、請求します
書類の様式や記載する内容等に不明な点があれば、労働基準監督署の窓口等で相談しながら申請手続きをすることもできます。
もっとも、手続きが煩雑であると思われる方もいらっしゃると思います。
そのような場合には、弁護士に依頼することを検討しても良いでしょう。
3 休業補償給付支給請求書(様式8号)とは
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仕事中に労災事故に遭ってしまい、怪我をしたために会社を休んでいる場合、労災保険から休業補償給付(給与の8割相当)を受給することができます。
休業補償給付を受給するために、労働基準監督署に申請するときに使用する書面が、労災の様式8号です。
休業補償給付は、休業を開始して4日目から支給を受けることができます(休業初日から通算して3日間は、待機期間と言い、支給がされません。)。
なお、休業補償給付支給請求書(様式8号)は、労働災害のときに使用します。
似たような書式として、休業給付支給請求書(様式16号の6)というものがありますが、こちらは通勤途中での事故(通勤災害)のときに使用するものですので、注意が必要です。
4 書式はどこで入手できる?
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様式8号については、労働基準監督署でもらうことができるほか、厚生労働省のホームページから入手することもできます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousaihoken.html
上記のホームページをみると、どのような事項を記入しなければならないのかも確認することができます。
5 会社が様式8号の作成に協力してくれないときは?
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様式8号をみると、事業主、および、診療担当者の証明をもらう欄があります。
まれに、事業主が、様式8号の作成に協力してくれず、事業主の証明欄への記入を拒否するということがあります。
そのような場合には、書面が作成できないので、休業補償をうけることができないのかというと、そのようなことはありません。
この場合には、事業主の証明欄は空欄にしたまま、事業主が協力を拒絶したという事情を報告することで、受理してもらうことができます。
6 【まとめ】労働災害に遭ってしまった際は、ぜひ弁護士へ相談を
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労災事故においては、きちんと給付を受けることが大切です。
特に、怪我をして働けないときには、休業補償は極めて重要になります。
労災事故に遭われた方は、ぜひ一度弁護士に相談をすることをおすすめします。
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、16名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。