
今回は、さいたま市大宮区で開設以来30年以上、様々な法律相談を取り扱ってきたグリーンリーフ法律事務所が、アスベスト(石綿)による労災についてコメントします。
アスベストとは

石綿(アスベスト)とは「いしわた」とも呼ばれる天然の鉱石です。
従前は、保温効果があることなどから、ビル等の建築工事において石綿が吹き付けられていたのですが、飛散・吸引によって疾病を発症することが分かり、昭和50年に原則使用禁止とされました。
その後も、各種素材で使われていたものの、現在は原則として製造も禁止されています。
石綿は、飛散・吸引による疾病を発症しますので、労働安全衛生法や大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律などで、予防や飛散防止等が規定されています。
アスベストにより発症する疾病

①中被腫
中皮腫は、肺を取り囲む胸膜、肝臓や胃などの臓器を囲む腹膜、心臓及び大血管の起始部を覆う心膜、精巣鞘膜、といった「中皮」と呼ばれる膜から発生した、悪性の腫瘍(がん)です。
②肺がん
肺がんは、肺にできる悪性の腫瘍(がん)で、石綿以外にも喫煙などが原因となって発症することもあります。
③石綿肺(じん肺)
石綿肺とは、石綿を大量に吸入することにより、肺が線維化する「じん肺」という病気の一つです。
石綿以外の鉱物性粉じんをはじめ様々な原因や原因不明も多くあるようですが、石綿のばく露によっておきた肺線維症を特に石綿肺と呼びます。
厚生労働省HPによれば、
・職業上アスベスト粉塵を10年以上吸入した労働者に起こる
・ 潜伏期間は15~20年
といわれているようです。
建設アスベスト訴訟

建設業務に従事していた元労働者等とその御遺族の方が、石綿健康被害をについて国家賠償法に基づく損害賠償を請求した訴訟(建設アスベスト訴訟)について、令和2年12月14日以降、最高裁判所が国の上告受理申立てを受理しないとの決定を行ったことにより、国の責任を一部認めた高裁判決が確定するとともに、令和3年5月17日の最高裁判決において、国敗訴の判決が言い渡されました。
これらの判決等を経て、議員立法により「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」が成立し、令和3年6月16日に公布されました。
特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律

(1)対象者
以下の1~3の要件を満たす方
1 下記建設業務に従事することにより、
①一定の屋内作業場で行われた作業にかかる建設業務
昭和50年10月1日から昭和16年9月30日まで
②石綿の吹付け作業に係る建設業務
昭和47年10月1日から昭和50年9月30日まで
2 石綿関連疾病(中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、石綿肺(じん肺管理区分が管理2~4)、良性石綿胸水)にかかった
3 労働者や、一人親方・中小事業主(家族従事者等を含む)
※ 被害者本人が亡くなっている場合は、ご遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹)のうち、最先順位者からの請求が可能。
(2)給付内容
認定審査会において審査を行います。
厚生労働大臣は、認定審査会の審査の結果に基づいて、病態区分に応じ、以下の給付金を支給します
①石綿肺管理2でじん肺法所定の合併症のない者 550万円
②石綿肺管理2でじん肺法所定の合併症がある者 700万円
③石綿肺管理3でじん肺法所定の合併症がない者 800万円
④石綿肺管理3でじん肺法所定の合併症がある者 950万円
⑤石綿肺管理4、肺がん、中皮腫、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水である者 1150万円
⑥上記1及び3による死亡した者 1200万円
⑦上記2、4、5による死亡した者 1300万円
※ 給付金を支給された後、症状が悪化した方には、請求に基づき、追加給付金(表における区分の差額分)を支給します。
※ 石綿にさらされる建設業務に従事した期間が一定の期間未満の方、肺がんの方で喫煙の習慣があった方については、給付金等の額がそれぞれ1割減額されます。
給付金等の請求期限

給付金等については、石綿関連疾病にかかった旨の医師の診断日又は石綿肺に係るじん肺管理区分の決定日(石綿関連疾病により死亡したときは、死亡日)から20年以内に請求する必要があります。
石綿被害について、グリーンリーフ法律事務所ができること

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴
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