弁護士 森田 茂夫

このところ、火災保険の保険金請求訴訟について、2件が最終決着しました。
いずれも、火災事故が発生したのに、保険会社が火災保険金の支払いを拒否したため、保険契約者(当事務所のご依頼者で、1件が工場、1件が店舗です)が保険会社に対して保険金の支払いを求めた案件です。

結果は1件が完全勝訴、もう1件が請求額の約50%の支払いをしてもらうということで和解をしました。

保険会社は、火災発生当時、保険契約者が経済的に困窮していると、「保険金目当てに放火をし、保険金を詐取しようとしている」などと主張して、保険金の支払いを拒否することがあります。

保険金請求の訴訟は、火災の原因、焼失した建物・動産の価値など複雑な問題が絡むので、解決までに2~3年かかることが多いのですが、諦めないで訴訟をしてみることも大切です。

ひとつだけ注意すべき点をあげると、火災が起きると保険会社の調査員が来て、「保険金を受け取るために必要だ、形の上だけだ」
というような顔をして調査をしていきますが、後に訴訟になったときに、この調査員が作った報告書が、重要な証拠になることが多くあります。
したがって、調査員の調査を受けるときは、当時の事実に反していないか、一つ一つ注意深く、調査員に話をするようにしてください。