弁護士 田中 智美

お店の人から「もう改造する所がありませんね」と言われ、愛車の成長期の終わりをしみじみと感じている今日この頃です。
さて、今回は、”おっかなびっくり、雪道運転初体験記”です。

都心部でも積雪のあった2月某日、私は車で前橋地方裁判所に向かっておりました。
これまで、「君子危うきに近寄らず」をモットーに(?)、雪道は絶対に運転しないと決め、スタッドレスタイヤを履かせたことすらない私が、なぜ、あの日に限ってそんな無謀な行動に出たのか、自分でもよく分かりません。
強いて言えば、「雪の予報なんてどうせ当たらないだろう」という見くびりと、数日前に窒素を補充したばかりだったので高速を転がしたいなぁと思っていたことが、その理由かもしれません。

自宅近くのインターから高速に乗って、北関東道を通るルートなのですが、行きの時点で早くも雪が降り始め、周囲の山や平野は一面真っ白に。高速の路面も、轍以外は降雪で白くなっているではありませんか。
この時点で、「まずいかもしれない」とは思ったのですが、だからといって、時間の都合上もはや引き返すこともできません。
そのまま前橋地裁まで行きましたが、裁判所にいる間にも雪はいよいよひどくなり、横殴りの風と相まって、みるみる吹雪の様相を呈していき・・・。

前橋市内で立ち寄ったガソリンスタンドの店員さんから、「お客さん、これ、サマータイヤですよね?」と指摘されるも、「そうですけど、それが、何か?」と精一杯強がってしまう私。
帰りは、関越道を川越で下りて下道を延々と帰るルートと、行きと同じ北関東道を通るルートと、どちらにしようか迷ったのですが、高崎インター付近の電光掲示版に「北関東道『雨』走行注意」と出ていたので、「あっちはもう雨なんだ。ラッキー」と考えて、行きと同じルートを選択。
ところが、それが裏目に出まして・・・北関東道は吹雪でした(ネ○スコ東日本の嘘つき!)。

雪道の運転は生涯一度もしたことがないので、本当にどうなるかと思いました。
よく言われる「『急発進、急ブレーキ、急ハンドル』をしてはいけない」という雪道運転のコツがありますが、それら3つは私が普段している運転そのものという有様。
「私がここで死んだら、明日からの裁判には誰が行ってくれるのだろう」、「事務所の皆さん、どうかお元気で」・・・半泣きになりながら、そんな思いが脳裏をかすめます。
フォグを焚いてもなお視界が利かないので、思い切って、車速を60キロに落としました。
しかし、誰も私を抜いていきません。
「こんな状況だから、こんな低速で走ってもいいんだ」と変に納得しながら、とろとろと走り続け、無事最寄りのインターを下りた時には、心底ほっとしました。
慎重に運転したおかげか、結局、一度もスリップしませんでした。

東北自動車道の始点から終点までを一日で走破したこともある私ですが、その時よりも、この日の雪の高速の方がよっぽど疲れました。
もうこりごりです。
雪の予報が出たら、電車に限ります。
といいますか・・・全て、冬装備をしない私の自業自得なのですけれどね。