弁護士 相川 一ゑ



みなさんは、水族館以外でイルカを見たことはあるでしょうか。
水族館なら確実に見られるのですが、このイルカは当然みな人間に飼育されている個体です。野生のイルカで特に有名なのは、世界遺産になった小笠原諸島でしょうが、こちらは船でしか行くことができず、しかも片道25時間もかかります。手軽に見に行くというのには、少し無理があるでしょう。
実は水族館や小笠原諸島ではなくとも、イルカに、それも野生のイルカに会える場所が東京都内にあります。
それが、利島(としま)という小島です。
利島は一周約8㎞、人口は300人ほどで、学校は中学校までしかありません。
ここは、元々イルカが見られることで有名だった御蔵島(みくらじま)から、はぐれてきたイルカが住みつき、今では数十頭のイルカが観察できる場所です。
先日、私はこのイルカたちに会いに、熱海港から約2時間船に揺られ、利島を訪れました。
利島のイルカは人間に興味があるらしく、平気で人間に近付いてきて、様子を窺っているようです。保護対象であるイルカには、人間からはタッチしないように注意されているのですが、あまりにもフレンドリーなイルカたちなので、こちらがぶつからないように気をつけなければならないほどです。
イルカ漁に関しては、賛否両論があるところですが、確かにイルカたちのあの優しい瞳を見ると、捕まえて殺してしまうのは可哀想な気もします。
ただ、イルカがいると、漁場を荒らされてしまうことも事実のようで、漁師さんの生活と相容れない性質を持つことも否定できません。
利島は、漁師さんたちがイルカと上手く共存していくために、逆にイルカがいる海であることをアピールして、観光資源にしています。
自然と人間との共生は難しい課題ですが、このような解決方法もあるのだと、強く感じた旅でした。