弁護士 相川 一ゑ



先日、イランの「人生タクシー」という映画を見ました。
映画の内容は、監督自らがタクシー運転手に扮し、テヘランの街を走りながら、次々にお客さんや知人などを乗せ、それぞれの人たちとの交流をしていく、というものです。ストーリーとして起承転結があるわけではないのですが、テヘランの街の様子や、乗客や知人などとの日常会話の中に、イランという国の問題などがちりばめられています。

この映画を作ったジャファル・パナヒ監督という方は、ベルリン国際映画祭などで受賞もしている名匠とされる方なのですが、自国のイランから映画監督禁止令を出され、複数回の逮捕もされているのだそうです。

日本国内では「映画監督禁止令」などという言葉は聞いたことがないでしょうが、情報統制を受けているイランでは、この監督のように国内で映画を作れない・上映できない、ということがまかり通っています。また、この映画の中には、反政府的な活動をしたと思われる弁護士が停職処分にあった、という様子も描かれています。

日常に当たり前にある「表現の自由」や「内心の自由」を制限することが、この時代にあってなお平然と許されるイランという国についてはもちろんのこと、近時国境なき記者団から報道の自由度ランキングが72位と評価された日本について、少し考えさせられた一日でした。