しばしば、数十年前の相続についての相談や、4代も5代もが関係する相続についてのお相談を受けることがあります。
このような相続や遺産分割においては、期限はないのでしょうか。
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所が、遺産分割と期限について解説します。

 遺産分割について

 相続とは

民法では、相続についての定義規定は特段おいていません。

(相続開始の原因)
第八百八十二条 相続は、死亡によって開始する。

しかし、相続とは、「被相続人(亡くなった方)の財産上の地位を相続人が引き継ぐこと」を言うとされています。
上記の民法が規定するように、相続は、被相続人の死亡によって自動的に開始されます。

 遺産分割とは

遺産分割も、民法に特に定義規定があるわけではありません。
しかし、一般的には、被相続人の財産の分け方を決めることを言い、だれがどの財産を取得するかなどを決めて分けることを言います。

 遺産分割の流れ

相続全般の流れ

1 被相続人の死亡
遺言書の有無を確認し、遺言書がある場合には家庭裁判所で検認という手続を行います(公正証書の場合は不要)。
2 相続人の調査
戸籍を取得して確認します。
3 相続財産調査
プラスもマイナスも、相続財産を調査します。
不動産登記を取得したり、市役所や金融機関に問い合わせることになります。
調査結果によっては、相続の放棄や限定承認も検討します。
4 遺産分割協議
5 遺産分割協議の実行

遺産分割の流れ

1 遺言書がある場合には、基本的には、遺産分割協議は行われず、遺言に従って相続の手続を行っていくことになります。
2 協議
まずは、遺産分割を協議(話し合い)で行います。
ここで注意するのは、協議といっても、顔を合わせる必要はないという点です。
当事者に争いが無い場合には、書面や持ち回りで行うこともあります。
3 調停
当事者間での協議がうまくいかない場合は、家庭裁判所で遺産分割調停を行うことになります。
調停は裁判所で行う手続ですが、あくまで話し合いですので、この調停で遺産の分割方法を決めなければいけない、という義務があるわけではありません。
従いまして、調停で遺産分割が成立しないこともあり得ます。
4 審判
調停で遺産分割が成立しない場合には、審判という、裁判官が証拠に基づいて判断する手続きに移行します。
イメージとしては、家庭裁判所での裁判、ということになろうかと思います。

 遺産分割と期限

 遺産分割に期限はあるのか

まず、遺産分割に期限はあるのか、という観点では、あると言えばありますし、無いと言えばないということになります。
確かに、民法上遺産分割をいつまでにしなければいけないということは規定されていないのですが、後述するように、様々な法律で、一定の期間内に遺産分割をしないと不利益が生じるようになって居ます。
そのため、遺産分割には、期限があると言えばありますし、無いと言えばないということになるのです。

 10年の期限?

遺産分割に関連して、特別受益や寄与分の主張が、10年に制限されるようになりました。
特別受益というのは、遺産分割において共同相続人間の実質的公平を図るために、生前贈与など、被相続人から生計の資本としての贈与を受けていた場合、遺産の前渡しと評価して、遺産分割に際してその金額を組み入れる計算のことを言います。
寄与分というのは、相続人の中で、被相続人の財産の維持や増加に特別の貢献をしたものがある場合に、他の相続人との実質的な公平を図るために、相続分以上の財産を取得させる制度のことを言います。

 3年の期限?

遺産分割に関しては、相続から3年、遺産分割成立から3年以内に相続登記をすることが義務付けられるようになりました。
また、厳密には税理士の先生方の御説明を聞いていただく必要がありますが、相続税の配偶者控除の申請は、原則として3年以内にする必要があります。

10カ月の期限?

こちらも税理士の先生方の説明を聞いていただく必要がありますが、相続税の申告は、原則として10カ月以内にする必要があります。

 遺産分割の期限とグリーンリーフ法律事務所

 弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴

開設以来数多くの相続に関する案件・相談に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、相続に精通した弁護士が数多く在籍し、また、相続専門チームも設置しています。
このように、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所・相続専門チームの弁護士は、相続案件や相続に関する法律相談を日々研究しております。
税理士や司法書士、土地家屋調査士とのネットワーク(Sネット)も主宰しており、税理士・司法書士・土地家屋調査士の協力が必要な場合、自信を持って対応できます。

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■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 野田 泰彦
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