親の他界後に遺言が見つかり、自分に全財産を相続をさせる、と書いてあることが分かった!
しかし、親の面倒を看てくれた兄弟姉妹にたくさん相続してほしいと思ったり、実家のお墓を引き継ぐことになった長男長女にその負担分を相続してほしいと思ったりすることはあると思います。
そこで、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所が、遺言がある場合に相続放棄できるかについて解説します。

 

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遺言について

遺言とは

民法では、遺言についての定義規定は特段おいていません。
一般には、
・民法に定める方式に従った
・遺言者の死後の法律関係についての、一方的かつ単独の意思表示
とされています。

遺言の効力発生時期は?

(遺言の効力の発生時期)
第九百八十五条 遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
2 遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。

このように、遺言の効力は、遺言者の死亡の時から効力を生じるとされています。

後で、別の内容の遺言が作られた場合にはどちらが優先する?

遺言は、遺言の方式に従えば、自由に撤回できます。
また、前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなすとされていますので、簡単に言えば、後に作られた遺言の内容が優先することになります。

第五節 遺言の撤回及び取消し
(遺言の撤回)
第千二十二条 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。
(前の遺言と後の遺言との抵触等)
第千二十三条 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
2 前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。

相続人以外にも財産を引き継がせることはできる?

遺言は、相続人にしか財産を引き継がせることができない、というわけではありません。
お世話になった人への贈与や、寄付をしたい相手方への寄付もすることができます。

遺言の具体例は?

典型例は「遺言者は、遺言者の有する一切の財産を××(生年月日)に包括して相続させる。」というような、全財産を相続させる遺言です。
また、財産を特定して相続させる内容としたり、上記の通り、相続人でない人に対して遺贈することを内容とすることも可能です。

遺言と遺産分割

相続全般の流れ

1 被相続人の死亡
遺言書の有無を確認し、遺言書がある場合には家庭裁判所で検認という手続を行います(公正証書の場合は不要)。
2 相続人の調査
戸籍を取得して確認します。
3 相続財産調査
プラスもマイナスも、相続財産を調査します。
不動産登記を取得したり、市役所や金融機関に問い合わせることになります。
調査結果によっては、相続の放棄や限定承認も検討します。
4 遺産分割協議
5 遺産分割協議の実行

遺言がある場合

1 家庭裁判所で検認という手続を行います(公正証書の場合は不要)。
2 遺言執行者が決まっている場合は、遺言執行者が遺言の内容に従って、財産の処理を進めていきます。
3 遺言執行者が決まっていない場合は、遺言執行者を家庭裁判所に選任してもらい、その遺言執行者に上記2を行ってもらいます。

遺言が無い場合または遺言があっても遺産分割協議で分割する場合

1 協議
まずは、遺産分割を協議(話し合い)で行います。
ここで注意するのは、協議といっても、顔を合わせる必要はないという点です。
当事者に争いが無い場合には、書面や持ち回りで行うこともあります。
2 調停
当事者間での協議がうまくいかない場合は、家庭裁判所で遺産分割調停を行うことになります。
調停は裁判所で行う手続ですが、あくまで話し合いですので、この調停で遺産の分割方法を決めなければいけない、という義務があるわけではありません。
従いまして、調停で遺産分割が成立しないこともあり得ます。
3 審判
調停で遺産分割が成立しない場合には、審判という、裁判官が証拠に基づいて判断する手続きに移行します。
イメージとしては、家庭裁判所での裁判、ということになろうかと思います。

遺言と相続放棄

相続放棄とは

一般的には、相続財産を受け取らない場合なども「放棄」ということがありますが、厳密には、所定の手続き(相続放棄申述受理申立)を家庭裁判所に行って家庭裁判所に申述を受理してもらえた場合を、「相続放棄」と言います。
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html

遺言があっても相続放棄できるの?

結論を先に行ってしまいますと、可能です。相続放棄ができます。
ただし、上記の通り、家庭裁判所に手続を行う必要があります。
そして、一番注意が必要なのは、自身が相続人であることを知った日から3か月以内に行う必要がある点です。

相続人ではないけれど、遺言で財産を貰えるとされた場合も相続放棄できるの?

これは、「相続放棄」という形ではできません。
ただし、財産の贈与を受けない、という意思表示をすれば、財産を貰わないようにすることができます。

遺言、相続放棄とグリーンリーフ法律事務所

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴

開設以来数多くの相続に関する案件・相談に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、相続に精通した弁護士が数多く在籍し、また、相続専門チームも設置しています。
遺言の作成や保管も行っており、相続放棄の申述の代理も多数行っております。
このように、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所・相続専門チームの弁護士は、相続案件や相続に関する法律相談を日々研究しております。
税理士や司法書士、土地家屋調査士とのネットワーク(Sネット)も主宰しており、税理士・司法書士・土地家屋調査士の協力が必要な場合、自信を持って対応できます。

最後に

グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。
遺言や相続放棄でご心配の皆様は、ぜひ、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 野田 泰彦
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