相続手続では、必ず、戸籍謄本・除籍謄本が必要になります。除籍謄本など普段目にすることは少ないと思いますし、戸惑う方も多いようです。そこで、除籍謄本とは何かということと、関連する資料について、説明を致します。
除籍謄本とはなにか
除籍謄本の説明
除籍謄本とは、戸籍から誰もいなくなったことを証明する書類です
つまり、その戸籍に入っている人全員が戸籍から抜けたこと(除籍)を証明する戸籍(除籍簿)の謄本を言います。
除籍の原因には、死亡や失踪宣告・婚姻・転籍等があります。よく、「戸籍を綺麗にする」のような言葉を聞きますが、除籍される理由があれば、新しい戸籍ができるので、それで綺麗になるという意味であると思います。
相続手続には、相続人を特定するために故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要となります。
例えば、銀行での預金解約手続、裁判所での遺産分割、相続登記などです。ほぼすべての手続に、除籍謄本が関わってきます。
現在の戸籍のほかに、除籍謄本(過去の戸籍と言えましょう)が必要なのです。
除籍謄本の中には、改製原戸籍謄本(法改正前の旧様式の戸籍)と言われるものも含まれます。
除籍謄本と、除籍抄本の違いはなに?
除籍謄本を取る際に、「除籍抄本(一部事項証明書)」も選べるので、どちらをとれ良いのか迷う方も多いと思います。
除籍抄本は「1人分だけの除籍の写し」で、除籍謄本は「家族全員分(戸籍の中に入っている人全員分)」の写しという違いがあります。
除籍簿もあるので、違いを列挙しておきます。
■除籍謄本
除籍簿の全員について証明したものです。
■除籍抄本
除籍簿の一部の人について証明したものです。
■除籍簿
戸籍に記録されている人が婚姻や死亡などにより全員除籍された場合や、転籍などで別の市区町村に新しい戸籍が編製された時などで、戸籍全部が消除された場合をいいます。
除籍謄本を請求できる人
・戸籍に記載されている本人またはその配偶者、父母や祖父母などの直系尊属もしくは子や孫などの直系卑属
・自己の権利の行使または義務の履行のために必要な方
(例えば、亡くなった兄に妻も子も父母もいないため相続人となった弟が、亡兄の戸籍謄本を請求する場合)
・上記の方から委任状で委任を受けた代理人 等
その他除籍謄本について
出生から死亡までの戸籍を取得するには、新しい戸籍(死亡時)から古い戸籍(出生時)にさかのぼっていく方法が一般的です。
一番最初に戸籍に記載されるのが「出生」のときです。その後、法改正があった場合、転籍届により他の市区町村へ本籍を移した場合などに新たに戸籍が編製されます。また、婚姻すると、父母と一緒だった戸籍からは除籍となって、自分と配偶者の戸籍が新しく編製されます。このように、出生から現在までの戸籍は複数あることが一般的です。
相続の際、まずは、現在(亡くなった時)の本籍地へ「死亡」の記載のある戸籍謄本を請求してください。
※死亡届を出して戸籍に記載されるまでには日数がかかります。
出生から死亡までずっと同じ本籍地(市区町村)に戸籍があった方は、一か所で全ての戸籍を取得できることになります。
手数料については、戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)は1通450円、除籍全部事項証明書、改製原戸籍謄本、除籍謄本はそれぞれ1通750円となります。
改正原戸籍とは何か
明治5年に戸籍法が施行されて以来、現在までに5回(戸籍をコンピュータ化していない市区町村では4回)戸籍簿の様式変更がありました。
様式変更の際に、その当時有効な戸籍は、新様式への作り替え作業が行われました。
この作りかえ前の戸籍を改製原戸籍と呼んでいます。
例えば上で説明したように、「亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍をそろえてください」と言われた場合には、この改製原戸籍が必然的に必要になります。
戸籍の附票とはなにか
戸籍の附票もわからない方が多いです。
これは、新しく戸籍を作った時以降の住民票の移りを記録したものです。戸籍簿とセットで本籍地の市区町村で管理されています。
この戸籍の附票を写したものを証明書として使えることも多いですが、あくまで戸籍にセットされたものなので、戸籍全部事項証明書(謄本)と同じく、本籍地でないと取得できません。住民票は、お住まいの市区町村でとれます。
ただ、本籍地が遠方の場合は、郵便で請求する方法もあります。
まとめ
例えば、本籍地が遠くにある場合です。
そのような場合は、弁護士であれば、一定の要件はありますが、戸籍や除籍の収集ができますので、お困りの方はご相談ください。