最近、ショッピングモール等の駐車場での交通事故相談が多くなってきています。駐車場場内の事故は、商業施設の大型化や郊外立地が進んでいるので、収容台数が多い駐車場が増えているので、比例して事故も増えていると考えられます。そこで、駐車場内の事故について解説をします。

通路の交差部分における四輪車同士の出会いかしら事故について

直進、右左折の区別なく、駐車場内の道路の交差部分に進入した車同士が、出会い頭に衝突した場合を想定しています。
AとBどちらも空いている駐車スペースを探しながら、進入・方向転換・バックなど様々な動きをすることが想定できます。

過失割合50:50 

基本過失割合

A 50B 50

★説明
駐車場内の道路では、交差部分について、道路交通法の「道路」にはあたりません。したがって、一般道路の交差点では、「左方優先」の法則がありますが、駐車場では進行する車両はどちらも等しく注意義務を負います。駐車場内の通路では、一般道ではないということで注意が必要です。

また、以下のような事情があれば、過失割合を修正することにしています。

・一方の通路が狭く、一方の道路が明らかに広い通路である場合→狭い方が過失60%
・駐車場内の一時停止を無視した場合 過失+15%~20%

通路進行車と駐車区画から通路に進入する車の事故(出庫車と直進車)について

駐車スペースから出庫しようとしている車と、直進方向に進行している車との間の出会い頭事故を想定しています。多くある事故形態だと思います。

過失割合30:70

基本過失割合

A 30 B 70

★説明
この態様の衝突事故が起きた場合、Aの過失割合は30%、Bの過失割合は70%、となるとされています。

つまり、直進するAが優先されます。
理由としては、出庫車は、駐車区画内で停車していることから、通路進行車よりも容易に安全を確認して衝突を回避できると考えられるからです。
他方で、通路進行車も、駐車していた車が発進することは当然に予想すべきなので、過失なしとは言えません。回避できる速度と方法で通行すべきであったと言えます。

また、以下のような事情があれば、過失割合を修正することにしています。

・どちらかの著しい過失 +10%(過失があるほう)
・どちらかの重過失   +20%(過失があるほう)

例えば、Aが通常の速度よりも早く走っていたとか、方向指示に反して走っていた場合等は、「著しい過失」と言えると考えます。
最高速度の標識がある場合は、それらの数値を目安にして、著しい過失なのか重過失なのかを決めることになります。このあたりは決まったものがなくある程度流動的です(ケースバイケース)。

通路進行車と駐車区画に進入する車の事故(入庫車と直進車)について

駐車スペースに入庫しようとしている車と、直進方向に進行している車との間の出会い頭事故を想定しています。これも多くある事故形態だと思います。
ただし、この基準は、駐車しようとしている車が、ハザードランプをだしていたり、方向指示器を点灯させて、通路進行車から、客観的にみて入庫の動きがわかることを前提にしています。
進入動作がわからない場合は、ケースに応じて他の基準を使用したり、本基準を修正します。

過失割合80:20

基本過失割合

A 80 B 20

★説明
例えば、バックしながら車を駐車しようとしているBと、Bの後方あたりから通路を直進してきたAとの間での事故の場合は、Bの過失割合は20%、Aの過失割合は80%となるとされています。

駐車区画への進入は、通路進入車より優先されます。駐車場に止めないと渋滞するし、本来駐車場は、「駐車するため」に作られているからです。したがって、通路進入車は、駐車を邪魔しないように進行する義務があります。
他方で、駐車する車も、通路を注視して、衝突しないような方法と速度で駐車する義務があると言えます。しかし、本パターンでは、進路通行車の過失が重いです。

また、以下のような事情があれば、過失割合を修正することにしています。

・どちらかの著しい過失 +10%(過失があるほう)
・どちらかの重過失   +20%(過失があるほう)

たとえば、Bが切り返しの際に不用意に前にでる、後ろにさがる等、より慎重な安全確認が求められる場面では、著しい過失と言えます。
逆に、Aが、Bが止めようとしているのをわかりつつ、「徐行しない」場合は、著しい過失ありと言えます。

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■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 申 景秀
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