子供の自転車事故への対策とは?

こんにちは。弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の弁護士 渡邉千晃です。

子どもを持つ親としては、子どもが自転車に乗っている時に、事故を起こさないか心配になることも多いと思います。

たしかに、子どもの自転車事故は、いつでも起こりうるものです。

このような事態に対し、自転車に乗る際のヘルメット着用が努力義務と定められたところであり、子どもの自転車事故が大事とならないための対策がなされているところです。

もっとも、子どもが起こす自転車事故は、時に重大な事件として報じられることもあります。

そこで、この記事では、子どもが起こした自転車事故では、どのような責任を問われるのか、また、子どもの自転車事故に備える方法について、わかりやすく解説していきます。

自転車事故の事例

近頃、通学に自転車を使う子どもが多いことなどもあり、子どもの自転車事故をニュースなどで見かける頻度も多くなってきました。

このような事故に対処するため、イヤホンで音楽を聴きながら自転車に乗ることや、スマートフォンを操作しながら自転車に乗ることなどは、交通警察において、厳しく取り締まられております。

上記のような自転車の乗り方は、一般的に、注意散漫となりやすいといえますが、注意不足が招いた自転車事故は、時に、死亡事故にもつながってしまいます。

例えば、2008年には、当時小学校5年生の少年が、自転車で坂道を下っていたところ、散歩中だった60代の女性と衝突したという事故が起こりました。幸い、女性は一命をとりとめたものの、意識不明の寝たきり状態となってしまったとのことです。

その後、被害者の家族が損害賠償請求を行い、裁判所は、少年の母親に対し、「指導や注意が功を奏しておらず、監督義務を果たしていなかった」として、9521万円の損害賠償を命じました。

また、自転車事故による責任は、民事上のものだけではありません。

2017年には、右手に飲み物、耳にイヤホンをした状態で電動自転車に乗っていた大学生が、不注意により、77歳の女性と衝突して事故を起こしたという事案で、禁固2年執行猶予4年の刑事判決がなされました。

このように、子どもが起こした自転車事故であったとしても、民事上・刑事上の責任を問われうるということは、知っておく必要があるでしょう。

自転車の過失割合について

自転車の過失割合について

最近では、自転車事故の判例も積みあがってきたことから、自転車が加害者側に判定されるケースも少なくありません。

たとえば、自動車が右折しようとしたときに、信号無視の自転車が突っ込んできたという事案で、過失割合が「自転車75%:自動車25%」とした判決も出てきています。

自転車事故を起こしてしまった場合には、自動車の修理代だけでなく、仮に相手が怪我を負ってしまった場合には、治療費などもかかることになります。

したがって、自転車の過失割合が大きい場合には、高額な賠償責任を負うこととなると考えられます。

親の監督義務について

親の監督義務について

子どもが起こした自転車事故によって、上記のような責任が生じることとなります。

親としては、子どもが自転車に乗る際には、しっかりと注意するように指導しているものと思います。

しかし、親の目が届く範囲には限界があることから、仮に、親の監督不行きがあった場合には、上記事例のように、親の監督義務違反を問われるおそれもあるところです。

では、親として、子どもの自転車事故に備える方法はないのでしょうか。

自転車保険への加入

自転車保険への加入

自転車事故は、誰がいつ起こすか、いつ事故に遭ってしまうか分からないものです。

したがって、子どもに交通ルールを教えることはもちろん、万が一の備えとして、自転車保険に加入することが大事だといえるでしょう。

自治体によっては、自転車保険の加入が義務となっているところもあります。

もっとも、義務化されているかどうかに関わらず、上記のような高額な損害賠償を負うリスクに備えるため、子どもが自転車に乗るというご家庭においては、自転車保険へ加入することを強くおすすめいたします。

まとめ

まとめ

子どもの自転車事故について、上記で解説いたしました。

子どもが自転車事故を起こさないように、日ごろから子どもに対して、交通ルールを教えることは、もちろん重要です。

また、実際に起きた悲惨な事故から学ぶことにより、自転車事故によって、人生が大変なことになってしまうおそれがあるということを、教える必要もあるでしょう。

さらに、自転車に乗る子どもを持つ親としてできる対策は、自転車保険への加入です。

最近では、各保険会社が様々な自転車保険を用意しており、月々の保険料が低額で入りやすいものも多くなっています。

子どもによる自転車事故のリスクは、決して低いものではありません。

高額な賠償リスクを避けるために、保険に加入することは必須といえる時代だと考えられます。

■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 渡邉 千晃

弁護士のプロフィールはこちら