退職代行は弁護士に依頼すべき?~弁護士法が定める非弁行為についても併せて解説~

退職代行を依頼する際、弁護士ではない業者と弁護士に依頼するかを迷われると思います。
弁護士に依頼をするメリットについて、弁護士法の定める非弁行為について説明しながら、解説をいたします。

弁護士法の定める非弁行為とは

弁護士法の定める非弁行為とは

弁護士法第72条によって、弁護士でない人は、報酬を得る目的で、「法律事件」について、法律事務を取り扱うことを業としてはいけないと定められています。「法律事件」というのは、法律上の権利義務に関し争いや疑義があり、又は、新たな権利義務関係の発生する案件をいいます。

そうすると、単純に退職届を提出するという行為であれば、非弁行為にはならない可能性もあるのですが、退職時に未払いの給与を請求するか否か、使用者側の従業員に対する損害賠償請求に応じるか否か等が問題となるようなケースに関しては、弁護士でない者が紛争の解決のために示談交渉を行う場合は、非弁行為となる可能性があるのです。

弁護士に依頼をするメリット

弁護士に依頼をするメリット

次のような場合は、弁護士に依頼をした方が良いと思います。

使用者側が退職の効力を争いそうなとき

使用者側が退職の効力を争いそうなとき

退職届を提出すると提出の日から2週間を経過すると、雇用契約が終了するのが通常なのですが、このような効力を使用者側が争おうとする場合は、弁護士でない者が退職の効力を認めさせるために交渉をしてしまいますと非弁行為になる可能性があります。そのため、こうした恐れがあるときは弁護士に依頼をした方が良いと思います。

未払いの給与を退職時に請求するとき

未払いの給与を退職時に請求するとき

使用者側が支払いを争う可能性がありますので、このような時には弁護士であれば非弁行為になる恐れはありませんので、弁護士にご依頼を頂くメリットがあると思います。

任意の退職を認めず、解雇をしてきそうなとき

任意の退職を認めず、解雇をしてきそうなとき

使用者側が任意の退職を認めず、従業員の在職中の問題行為を指摘して、解雇をしようとすることがあります。こういうケースで、解雇の有効性を争うことは、弁護士でないものがこれを行えば非弁行為になる恐れがありますので、弁護士に依頼をするのが良いと思います。

使用者側が損害賠償請求をしてくる可能性があるとき

使用者側が損害賠償請求をしてくる可能性があるとき

使用者側が、残務を解消しないまま退職をすれば、残務の処理のために、別の従業員に残業代を支払う必要があるので、賠償するようにと要求してくることがあります。また、在職中の問題行為を指摘して、使用者側に損害が発生しているので賠償するようにと要求してくることがあります。

こういったときに支払いを拒否して、退職を認めるように交渉することは、弁護士でない人が行えば非弁行為になる恐れがあります。こういったケースでは弁護士に依頼をした方が良いと思います。

退職時に誓約書を提出させようとしてくるとき

退職時に誓約書を提出させようとしてくるとき

使用者側は、競合他社へ移籍することや、競合する会社を設立することを防ごうとして、移籍や会社設立を禁止する誓約書を退職時に提出させようとしてくることがあります。また、在職中に知り得た使用者側のありとあらゆる情報を、新しい仕事で使用することを禁止するための誓約書を書かせようとすることがあります。

いずれも職業の選択の自由を不当に制限する可能性のあるものですので、誓約書の内容を検討して提出の是非を決めるべきですが、法律上の権利義務に関し争いがあったり、新たな権利義務を発生させる案件となり得ますので、弁護士でない者が交渉を行えば、非弁行為となる恐れがあります。こうしたケースでも弁護士に依頼をした方が良いと考えます。

まとめ

まとめ

以上でご紹介したケースは、従業員の退職時に問題となることが多く、当事務所でも多くを経験する出来事です。弁護士であればすべてに対応できるのですが、弁護士でない人に依頼をした場合には、問題が発生した時に交渉を続けますと非弁行為になる恐れがあり、使用者側から非弁行為に該当するので依頼をした代理人は業務を遂行できないはずであるという指摘を受ける恐れがあります。

そのため、退職代行と言っても、いろいろな問題が起きる可能性があるということをご検討頂き、弁護士に依頼をして頂くのがよろしいと考えます。弁護士であれば、以上のような問題が発生した場合にはどう対処すべきなのかを熟知しておりますので、問題が発生した場合であっても適切な対応が可能です。

よって、退職代行の依頼をお考えの方は、ぜひ、弁護士への依頼をご検討頂けますと幸いです。

■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 村本 拓哉

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