配偶者の年収が500万円の場合の養育費の相場

離婚するにあたり、元配偶者は親権者である元配偶者に対して養育費を支払わなければなりません。養育費の金額は、①双方の収入、②子どもの年齢と人数、というファクターによって変化していきます。本稿では、年収500万円の場合の養育費をみていきます。

養育費とは?

養育費とは?

養育費は、離婚後、子が経済的社会的に自立するまでの間、その衣食住や教育・医療等のために必要となる費用です。民法上は「子の監護に要する費用の分担」という言葉で表現されており(民法766条1項)、父母の間で、監護親に対して金銭を負担する必要があります。

養育費支払の現状

日本人の約9割が、裁判所の手続を経ずに、夫婦で取決めをして協議離婚をしているようです。本来的には養育費を定める必要がありますが、その金額の設定に無理があったり、支払方がきちんとしていなかったりと、様々な要因により、実際には全体の3割程度の方しか養育費をきちんと受け取れていない現状があります。

そこで、養育費を客観的に相当と認められる相場をもって定める必要があります。

養育費支払の終期

養育費をいつまでもらうことができるかについては、基本的には子が満20歳に達するまでとされています。民法改正によって、成人になる年齢は18歳とされましたが、養育費との関係ではまだまだ未成熟な子として扱われ、20歳という年齢は基本的には変わらないこととなりました。もちろん、離婚時に夫婦間で取り決めができていれば問題ありません。また、厳しい議論がある大学や専門学校卒業まで支払うのかどうかという問題点については、それだけで重大なテーマとなってしまうため、別稿で改めて紹介します。

養育費の相場は?

養育費の相場は?

離婚協議の中で夫婦が納得して離婚後の子の養育費の金額を定めるのであればその金額に特段の制限はありませんが、話し合いがまとまらないという場合には家庭裁判所で養育費の金額を決める必要が出てきます。

実務上、家庭裁判所においては、夫婦双方の収入や子の人数・年齢に応じて養育費の金額を一律に算定する算定表という資料を用いて離婚後の子の養育費を決めています。

そのため、家庭裁判所が用いる算定表により計算された養育費の金額が養育費の相場であると言えます。

算定表とは?

算定表とは?

裁判所が、簡易迅速性、予測可能性、公正性を確保する養育費の算定方法として公表している資料が養育費の算定表です。

現在、公表されている算定表は令和元年12月に改訂されたもので従前のものと比較する形で新算定表と呼ばれています。

算定表は以下の裁判所のホームページにPDFデータの形で掲載されていますので、インターネット環境があればいつでも確認することができます。

https://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/index.html

配偶者の年収が500万円の場合の養育費の相場

配偶者の年収が500万円の場合の養育費の相場

算定表に基づきいくつかのケースで具体的な養育費の金額を計算してみます。

日本人の平均年収は、男性が約550万円、女性が330万円とされています。そこで、本稿では、親権者ではない夫が親権者である妻に対して支払うべき養育費の金額をシミュレートしていきます。

子が1人の場合(15歳未満)

妻の収入が   0円の場合→月額6.7万円程度

妻の収入が120万円の場合→月額5.3万円程度

妻の収入が240万円の場合→月額4.5万円程度

妻の収入が330万円の場合→月額4万円程度

子が1人の場合(15歳以上)

妻の収入が   0円の場合→月額8万円程度

妻の収入が120万円の場合→月額6.4万円程度

妻の収入が240万円の場合→月額5.4万円程度

妻の収入が330万円の場合→月額4.9万円程度

子が2人の場合(いずれも15歳未満)

妻の収入が   0円の場合→月額11万円程度

妻の収入が120万円の場合→月額8.7万円程度

妻の収入が240万円の場合→月額7.4万円程度

妻の収入が330万円の場合→月額6.6万円程度

子が2人の場合(1人が15歳以上、1人が15歳未満)

妻の収入が   0円の場合→月額10.4万円程度

妻の収入が120万円の場合→月額8.3万円程度

妻の収入が240万円の場合→月額7万円程度

妻の収入が330万円の場合→月額6.3万円程度

子が2人の場合(いずれも15歳以上)

妻の収入が   0円の場合→月額11万円程度

妻の収入が120万円の場合→月額8.7万円程度

妻の収入が240万円の場合→月額7.4万円程度

妻の収入が330万円の場合→月額6.6万円程度

子が3人の場合(いずれも15歳未満)

妻の収入が   0円の場合→月額11.4万円程度

妻の収入が120万円の場合→月額9万円程度

妻の収入が240万円の場合→月額7.6万円程度

妻の収入が330万円の場合→月額6.9万円程度

子が3人の場合(1人が15歳以上、2人が15歳未満)

妻の収入が   0円の場合→月額11.8万円程度

妻の収入が120万円の場合→月額9.4万円程度

妻の収入が240万円の場合→月額7.9万円程度

妻の収入が330万円の場合→月額7.1万円程度

子が3人の場合(2人が15歳以上、1人が15歳未満)

妻の収入が   0円の場合→月額12.2万円程度

妻の収入が120万円の場合→月額9.7万円程度

妻の収入が240万円の場合→月額8.2万円程度

妻の収入が330万円の場合→月額7.4万円程度

子が3人の場合(いずれも15歳以上)

妻の収入が   0円の場合→月額12.6万円程度

妻の収入が120万円の場合→月額10万円程度

妻の収入が240万円の場合→月額8.4万円程度

妻の収入が330万円の場合→月額7.6万円程度

まとめ

まとめ

離婚をお考えの場合、協議であれば養育費の金額をどの程度に設定するかについての法的な制限はないのですが、支払いをする側は相場として算定表の数字を持ち出してくることが想定されます。

そのため、算定表の数字を念頭に置いた上で協議をしていただくことがスムーズな協議の助けになるかと思いますので、ご参考としてください。

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■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 平栗 丈嗣

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