サービス残業が常態化している職場の状況を改善する方法について

サービス残業が常態化している職場の状況を改善するために、労働者としてできることはいくつかあります。以下のステップを検討してみてください。

1. 証拠を集める

1. 証拠を集める

まず、サービス残業の証拠を集めることが必要です。証拠があれば、会社に対して改善を求めたり、外部機関に相談したりする際に有利になります。

タイムカードや勤怠記録のコピー(打刻がなければ、自分でメモを取る)
業務開始・終了時刻の記録(メールの送受信履歴、PCのログイン・ログアウト記録など)
上司からの指示記録(LINEやメールなどで業務時間外の指示があれば保存)
給与明細(残業代が支払われているか確認)

2. 上司・会社に相談する

2. 上司・会社に相談する

社内で解決できる可能性がある場合、以下のような方法で、まずは直属の上司や人事部に相談してみましょう。

「業務量が多く、労働時間が守られていない」と伝える
「会社のルールではどうなっているのか」確認する
「残業代が適切に支払われるべき」と伝える

会社のコンプライアンス部門が、サービス残業を放置している管理職に聞き取りを行い、処分や指導改善を促すというケースもあるようですので、会社に相談できそうな場合はして頂くのが良いと思います。ただし、相談することが逆効果になることもあるため、慎重に進めるべきです。

3. 労働組合を活用する

3. 労働組合を活用する

職場に労働組合がある場合、相談してみるのも一つの手です。労働組合は会社と交渉する力を持っているため、改善につながる可能性があります。

もし職場に労働組合がない場合でも、「ユニオン」と呼ばれる外部の労働組合(地域や業界ごとの組合)に加入し、支援を受けることができます。

4. 労基署に申告する

4. 労基署に申告する

労働基準監督署(労基署)に申告することも有効です。

まずは、最寄りの労働基準監督署を調べましょう。厚生労働省のホームページや「労働基準監督署一覧」で管轄の労基署を確認し、会社の所在地を管轄する労基署に申告するのが基本です。

また、申告の方法ですが、直接訪問することが望ましく、申告の際には、以下の情報をまとめたメモを持参するのが望ましいです。

・申告する方のお名前、ご住所、電話番号
・申告対象となる会社の所在地、電話番号、業務内容、代表者氏名、労務管理担当者氏名
・入社日、退職日
・雇用形態(正社員・パート等の別)
・労働時間
・賃金の締め日及び支払日
・月給(日給、時給)や毎月決まって支給される手当等、通常の賃金額
・会社とのトラブルなどがあった場合はその内容

申告後の流れですが、

① 労基署が会社に調査を実施

労基署は申告内容をもとに会社を調査することがあります。

会社に直接訪問し、労働時間の管理状況、給与明細、就業規則などを確認します。

なお、労基署が調査を行うにあたっては、通常、特定の労働者から申告があったということを会社に伝えて良いかについて事前に確認をします。

② 労基署が是正勧告・指導を行う

違反が認められた場合、会社に対して「是正勧告」が行われます。

会社に対しては、一定期間内に報告書を提出するように求められます。

③ 会社が対応するかどうか

会社が是正勧告を受け入れ、未払いの残業代を支払ったり、労働時間を適正化する場合があります。しかし、一部の企業は対応を遅らせたり、形だけの改善をすることもあります。

④ 会社が是正勧告に従わない場合

もし会社が是正勧告を無視し、改善しない場合、労基署の活動により、刑事手続に移行することがあります。すなわち、企業や経営者の労働基準法違反事件について、労基署が検察庁に書類送検する可能性があるということです。残業代の未払いに対しては、刑事罰が科される可能性があります。

5. 他の従業員と協力する

5. 他の従業員と協力する

一人で動くと会社から圧力をかけられる可能性がありますが、複数人で訴えればより効果的です。同じ状況にいる同僚がいるなら、情報共有しながら対策を練るのも重要です。

6. 転職を視野に入れる

6. 転職を視野に入れる

サービス残業が改善されず、会社が対応する気もない場合、長期的には転職を考えるのも選択肢の一つです。ブラック企業にこだわり続けるより、働きやすい環境を探す方が精神的にも経済的にもプラスになることがあります。

まとめ

まとめ

証拠を集める(勤怠記録・指示の記録など)
社内で相談する(上司・人事)
労働組合を活用する(社内・外部のユニオン)
労基署に申告する
同僚と協力する(団結して改善を求める)
転職も視野に入れる(根本的な解決にならない場合)

一人で抱え込まず、外部機関の力を借りることが重要です。

まずは証拠を確保し、相談先を検討してみてください。

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■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 村本 拓哉

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