労災の提出書類は…?様式6号って何…?弁護士が解説します!

労働災害に遭われた方は、労災から各種の支給を受けられます。
ですが、その支給を受けるためには、様々な書類を提出しなくてはなりません。
ここでは、そのような書類の1つである「様式6号」について解説します。

労災保険・様式第6号とは?

労災保険・様式第6号とは?

「様式第6号」は、療養補償給付たる療養の給付請求書(転院届)として、労働基準監督署へ提出するための重要な書類です。

「様式第6号」は、労災指定医療機関から別の医療機関へ転院する際に必要な申請書です。労働災害で負傷または疾病を負った労働者が、より適切な治療を受けるために他の医療機関へ移る場合に、この様式を使用し、提出します。

この書類を提出することで、転院後の医療機関でも引き続き労災保険の適用を受けることが可能となります。

提出先と記入内容

提出先と記入内容

提出先

労働基準監督署へ提出する必要があります。原則として、事業主の証明を受けた上で、所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。

もっとも、事業主が労災申請に非協力的であるなど、事業主証明が取れない場合もあります。このような場合、事業主証明をとることが困難であることを、労災に対して説明すれば、これを省略できる場合もあります。

記入内容

様式6号の主な記載内容は、以下のとおりです。

  • 被災労働者の氏名、住所、生年月日、職種
  • 労働災害が発生した日時と場所
  • 負傷または疾病の詳細
  • 転院を希望する理由
  • 現在の医療機関の名称・所在地
  • 転院先の医療機関の名称・所在地
  • 事業主の証明(会社名、所在地、事業主名など)

様式第6号と他の様式との違い

様式第6号と他の様式との違い

様式6号以外にも、労災への提出書類には様々なものがあります。

様式●号といったように、たくさんの種類があるので、それらの違いについても理解しておくと非常に役に立ちます。

「様式16号の4」との違い

 様式6号と「様式16号の4」の目的はどちらも指定病院の変更ですが、様式6号が業務災害用、様式16号の4は通勤災害用の様式となっています。

業務災害と通勤災害など、事故の種類で様式を分けていることから、ご自身がどの書類を提出しなくてはならないのかをしっかりと理解しておく必要があります。

「様式5号」および「様式16号の3」との違い

「様式5号」と「様式16号の3」は、労災事故がおきて、最初に指定医療機関で診療を受けたときに提出する書類となります。なお、様式5号は業務災害用、様式16号の3は通勤災害用というように、ここでも事故の種類で書類が分かれています。

「様式5号」及び「様式16号の3」様式6号との違いは、病院にかかるタイミングです。

初めて病院にかかるときの書類が「様式5号(もしくは様式16号の3)」であり、すでにかかっている病院を変更するときの書類が、「様式6号(もしくは様式16号の4)」となります。

もっとも、ここで注意が必要なのは、労災の指定を受けていない医療機関から労災の指定医療機関に変更する際の書類は、様式6号(もしくは様式16号の4)ではなく、様式5号(もしくは様式16号の3)となる点です。少々複雑な点もありますので、ご不安な場合には、事前に労働基準監督署に確認しておくことが有効です。

「様式7号(1)」および「様式16号の5(1)」との違い

「様式7号(1)」および「様式16号の5(1)」は、立て替え払いをした治療費用の請求書です。なお、様式7号(1)は業務災害用、様式16号の5(1)は通勤災害用です。

国内の医療機関がすべて労災指定を受けているわけではありません。

緊急の場合など、病院を調べている間がないときには、労災指定ではない医療機関で治療を受けることもありえます。

原則として、労災の場合には治療費の本人負担はゼロです。

しかしながら、非指定の医療機関の場合は、一度、治療費の全額を立て替えて支払うこととなり、後日、領収書等を添付して労働基準監督署に費用を請求することになります。

申請のポイントと注意点

申請のポイントと注意点

ここまで、様式6号について主に見てきましたが、注意点をまとめます。

  1. 転院先の医療機関を事前に確認する
    • 転院先が労災指定医療機関であるかどうかを確認しましょう。
    • 労災指定でない場合、治療費が一時的に自己負担となる可能性があります。
  2. 事前に労働基準監督署へ相談
    • 労災制度の適用が正しく行われるよう、転院前に労働基準監督署へ確認を取ると安心です。
    • 事業主の証明が適切に行われるかどうかも確認しましょう。
  3. 事業主の証明が必須
    • 事業主が労働基準監督署への報告義務を怠ると、労働者が補償を受けられない場合があります。
    • 会社とのトラブルを防ぐためにも、速やかに手続きを進めることが重要です。
  4. 提出のタイミング
    • 転院が決まり次第、速やかに様式第6号を用意し、労働基準監督署へ提出してください。
    • 手続きが遅れると、転院先での労災適用がスムーズに進まない可能性があります。

まとめ

まとめ

労災保険の療養補償給付を受けながら医療機関を変更する際には、「様式第6号」の提出が欠かせません。適切な手続きを踏むことで、転院後も労災保険の適用を受け、自己負担なしで治療を継続することが可能となります。

転院の際には、速やかに事業主と相談し、適切な手続きを進めることが重要です。また、必要に応じて労働基準監督署や専門家に相談しながら進めることで、スムーズに補償を受けることができます。

労災事故の手続きや、そのあとの流れは非常に複雑で、専門的な知識が必要です。

労災保険の活用など適切な補償を受けるために、弁護士への相談をぜひご検討ください。

「こんなことで弁護士に相談していいのか…」ということを考える必要は全くありません。お気軽にお問い合わせください。

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■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 遠藤 吏恭

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