
ある日突然、家族や友人が「逮捕された」という知らせを受けたら、あなたはどうしますか?あるいは、自分自身が思いがけず警察に逮捕されるという事態に巻き込まれたら、冷静に対応する自信はありますか?
刑事事件における“初動”は、その後の結果に大きな影響を与えます。特に逮捕直後の行動や対応は、起訴・不起訴の判断、さらにはその後の社会生活への影響をも左右する極めて重要なポイントです。
本コラムでは、「逮捕されたらまず何をすべきか」をテーマに、刑事事件の基本的な流れや弁護士の役割、そして逮捕直後に必要な具体的な対応について、分かりやすくご紹介します。
そもそも「逮捕」とは?

逮捕とは、警察や検察などの捜査機関が、犯罪の嫌疑がある人物の身柄を強制的に拘束する行為を指します。法律上、「逮捕」は重大な人権制限を伴うため、刑事訴訟法に厳格な手続きが定められています。
逮捕には大きく分けて以下の3種類があります。
通常逮捕(逮捕状に基づく)
裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。捜査機関は、犯罪の嫌疑があり、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断した場合、裁判所に逮捕状を請求します。裁判官がその請求を認めれば、逮捕状が発付され、被疑者の身柄を拘束することができます。
緊急逮捕(逮捕状なし・一定条件下での例外)
重大な犯罪(懲役刑が長期3年以上の罪)について、逮捕状を取る時間的余裕がない場合に限り、緊急的に逮捕できる制度です。
警察官は、被疑者が重大な罪を犯したと合理的に判断できる資料があり、逮捕の必要性が高いと認めたときには、事後的に裁判官の判断を仰ぐ前に身柄を拘束できます。た
だし、逮捕後直ちに裁判官に逮捕状の請求をし、逮捕の適法性を確認してもらう必要があります。
現行犯逮捕(現に犯罪を行っている、または直後に行った者をその場で)
文字どおり、犯罪を行っている現場、あるいは犯罪直後の者に対して行われる逮捕です。この場合、逮捕状は不要です。
たとえば、万引きをしているところを目撃された場合や、暴行の現場を第三者が目撃した場合などが該当します。迅速な対応が求められる現場では、もっとも即応性の高い手段として用いられています。
逮捕されると、通常は48時間以内に検察庁へ送致され、さらに勾留が必要と判断された場合、裁判官が勾留の可否を決定します。勾留が決定されれば、最長で20日間、身柄を拘束されることになります。
逮捕されたらまずどうすべきか?

取調べの対応を検討
逮捕されると、警察から取り調べを受けることになります。その際に重要なのが取調べの対応を検討することです。
まずもって考えなくてはならないのは「黙秘権」の存在です。
日本の司法では、自己に不利益な供述を強要されない権利を保障しています。
逮捕直後は、気が動転していて不必要なことまで話してしまうこともあり得ます。
取り調べでは、何気ない発言が不利な証拠とされることもありますので、まずは「弁護士に相談したい」と伝え、黙秘を貫くことが賢明かと思われます。
家族・知人はすぐに弁護士に連絡を
本人が逮捕されている場合、自由に外部との連絡はできません。逮捕直後は、事件の種類にかかわらず弁護士以外面会ができません。
そのため、家族や友人など周囲の人間が迅速に弁護士へ連絡し、弁護活動を依頼することが非常に重要です。
弁護士は被疑者と接見(面会)することができ、本人の精神的支えになるとともに、法的助言を行います。
また、取り調べへの対応や今後の見通しなども含めてアドバイスが受けられるため、無用な不安や誤った判断を防ぐことができます。
私選弁護人 vs 国選弁護人

逮捕された本人や家族が依頼する弁護士は「私選弁護人」と呼ばれます。
一方、勾留後に自ら依頼できない場合などには「国選弁護人」が付けられる制度もあります。
国選弁護人も法的には十分な役割を果たします。
ですが、どうしても変わってくるのは、国選弁護人は「勾留後」でないと選任されないということです。
初動対応やスピード感では、私選弁護人に依頼する方が安心できるケースも多くあります。特に早期の身柄解放を目指す場合や、示談交渉が必要な場合には、私選弁護人による迅速な介入が重要です。
弁護士ができること
● 接見(面会) 被疑者と直接面会し、外部との唯一の連絡手段を確保します。接見禁止が付いていても、弁護士は例外的に面会が許されます。
● 取り調べへのアドバイス 供述の内容によっては不利な証拠となりうるため、どう対応すべきかを適切に助言します。
● 勾留阻止・準抗告 勾留決定に対し不服申立てを行い、勾留の回避や早期釈放を目指します。
● 示談交渉 被害者との間での示談が成立すれば、不起訴や刑の軽減につながることがあります。弁護士が間に入ることで、被害者との直接のやり取りを避けつつ円滑な解決を図れます。
● 起訴後の弁護活動 起訴された場合でも、証拠の検討や情状立証など、裁判に向けての準備と弁護活動を行います。
家族ができるサポート

家族が逮捕された場合、精神的なショックは大きいと思います。しかし、家族が冷静に対応することが、被疑者にとって何よりの支えになります。以下のような支援が可能です。
・弁護士への依頼・費用負担
・必要書類の準備(住民票、身分証など)
・差し入れ(本、衣類、文房具など)
・勾留先への問い合わせ
まとめ

刑事事件は、誰にとっても決して他人事ではありません。
ときに冤罪や誤認逮捕ということもあり得ますし、軽微な事件が人生を大きく左右することもあります。逮捕は「終わり」ではなく、適切な対応を行うことで「守れるもの」も多く存在します。
何より重要なのは、「すぐに弁護士に相談すること」。これが、あなたや大切な人の未来を守る第一歩となります。私たち法律事務所は、逮捕直後の不安や混乱の中でも、迅速かつ丁寧に対応いたします。どんな小さなことでも、お気軽にご相談ください。
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。