
「仕事中にケガをしたけれど、どうしたらいいか分からない」「労災申請って何から始めればいいの?」という方に向けて、この記事では労災保険の基本から申請の具体的な手順、必要書類、よくあるトラブルとその対処法までを解説します。
初めての方でも安心して読み進められる内容となっておりますので、ぜひご参考ください。
労災申請とは?

労災申請とは、仕事中や通勤途中に起きたケガや病気に対して、労働者災害補償保険(以下、労災保険)を使って補償を受けるための手続きです。
労災保険は、労働者が安心して働けるようにするため、会社に雇用されている人(パート・アルバイト含む)が対象になります。原則として、業務中や通勤中の災害であれば、保険の対象となります。
労災保険には以下のような給付があります:
- 療養(治療にかかる費用)
- 休業補償(仕事を休んでいる間の収入)
- 障害補償
- 遺族補償
- 葬祭料 など
労災申請が必要な場面とは?

以下のようなケースでは、労災申請を検討すべきです:
- 作業中に転倒して骨折した
- 重い荷物を運んで腰を痛めた
- 工場での作業中に機械に巻き込まれてケガをした
- 通勤途中で交通事故に遭った
- 長時間労働やパワハラによりうつ病を発症した
「会社に相談しづらい」「これって本当に労災なの?」と迷うケースでも、まずは専門家に相談することで、自分のケースが該当するか確認することができます。
労災申請の流れ

労災申請の一般的な流れは以下のとおりです。
ステップ1:会社に事故や病気を報告
ケガや発症があったら、まずは速やかに会社に報告します。できれば文書やメールなど記録が残るかたちで報告しておくと安心です。
ステップ2:必要書類の準備
労災申請には、主に以下の書類が必要です:
- 療養補償給付たる療養の給付請求書(様式第5号)
- 診断書(医師に依頼)
- 勤務状況のわかる資料(タイムカードなど)
精神疾患や過労死の場合には、さらに業務内容や残業時間などを証明する資料も必要になります。
ステップ3:労働基準監督署への提出
書類をそろえたら、所轄の労働基準監督署に提出します。
このとき、会社側が必要事項を記入する欄もあるため、会社の協力が原則として必要になります。ですが、どうしても会社の協力が得られない場合には、労働基準監督署に説明をすることで、労災申請を行うことができるケースもあります。
なお、まず提出が必要となるのは「様式第5号(療養補償給付たる療養の給付請求書)」かと思います。これは、「労災指定医療機関での治療のために治療費を受けるため」の申請書です。
この書類は、医療機関の窓口に直接提出することが多いかと思います。
病院が労災指定でない、あるいは自由診療で立て替え払いをしてから後日請求(=様式6号を使用)するケースでは、病院ではなく、労基署へ提出することになります。
ステップ4:審査・調査
労基署は、提出された書類や関係者からの聞き取り調査などをもとに、労災として認めるかどうかを判断します。
ステップ5:認定・不認定の通知
労災と認められた場合は、給付金の支給が始まります。不支給の場合はその理由が通知され、必要であれば不服申立て(審査請求)を行うことも可能です。
必要な書類と記入のポイント

申請書類は制度の種類ごとに異なりますが、以下のようなものがよく使われます:
- 様式第5号:労災による療養(治療)を無料で受けるための申請書。
- 様式第6号:新しい医療機関での治療費の支払いに関して引き続いて労災として扱ってもらうために提出する書類。
- 様式第7号:労災指定医療機関以外の医療機関を受診した際の治療費を請求するために使用する書類。
- 様式第8号:休業補償給付を受けるための書類。
- 様式第10号:障害補償給付(後遺障害が残った場合の給付金)を受けるための書類。
なお、会社が記入を拒否するケースもあります。
その場合でも、労基署に「会社が協力してくれない旨」を伝えれば、事情を考慮して進めてもらえることがあります。
よくあるトラブルとその対処法

会社が「労災じゃない」と言って協力してくれない
→ 労災かどうかを判断するのは会社ではなく労基署です。会社が協力を拒んでも、労基署に相談することで申請は可能です。
労災隠し
→ 労災隠しは違法です。診断書や証拠資料を集めて、早めに弁護士や労基署に相談しましょう。
不支給決定が届いた
→ 審査請求(不服申立て)をすることで、再度判断してもらうことができます。期間制限があるため注意が必要です。
弁護士に相談すべきタイミングとは?

次のようなケースでは、弁護士に相談することを強くおすすめします:
- 労災申請が複雑で、どこから手をつけていいか分からない
- 会社との関係が悪化し、手続きが進まない
- 精神疾患や過労死など、因果関係を証明するのが難しい
- 労災保険とは別に損害賠償請求も検討している
弁護士に依頼することで、証拠の整理や申請書類の作成、労基署への対応などをスムーズに進めることができます。また、申請が通らなかった場合の審査請求も対応可能です。
まとめ

労災保険の申請は、働く人が安心して生活を立て直すための大切な制度です。「これくらい我慢すれば……」「会社に迷惑をかけたくない……」と思ってしまう方も少なくありません。
しかし、労災はあなたの権利です。泣き寝入りせず、正当な補償を受けるためにも、まずは正しい知識を持ち、必要に応じて弁護士など専門家の力を借りてください。
当事務所では、労災申請に関するご相談を随時受け付けております。どうぞお気軽にご連絡ください。
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。