私が、法務スタッフとして、法律事務所に勤めるようになって丸8年経ちました。法律事務所に勤めるまでは身近に弁護士がいなかったので、漠然と弁護士って、「頭がよくって」「お金持っていて」「正義の味方で」「ベンツに乗っていそう」くらいのイメージしか持っていませんでした。裁判所も普通の人には縁のないところだと思っていたので、「威厳?」のありそうな裁判所に出入りをする職業だからこそ、弁護士を「えらい人」のように思っている人は多いのかもしれません。弁護士って、教師でも政治家でもないのに「先生」って呼ばれたりしていますから・・・。

 私の思い描いていた「弁護士像」について一つ一つ検討してみたいと思います。

①「頭がよくって」

 確かに頭がよくないと、弁護士はつとまりません。もうひとつ付け加えるとしたら、頭は良くあり続けなくてはならない職業だと思います。弁護士業は「ここまで知っていたらいい」という境界線がないので、常に勉強し続けなければ「明日はない」、「仕事がこない」「廃れていく」職業のようです。

②「お金を持っていて」

 これは、巷ではピンからキリまでいるようです。ちなみに当事務所の弁護士に限って言えば、これはあまり当てはまらないかもしれません(すみません)。もちろん実情は分かりかねますが、「価値観」もごく普通の一般人と変わりません。

③「正義の味方で」

 これはどちらかと言えば「警察官」のイメージだったのかもしれません。弁護士は「依頼者の利益」になる行動しかとれないので「依頼者の味方」ということになるのでしょうか。例えば、離婚事件で依頼者が「暴力夫」だった場合、「暴力夫」の弁護をしなければならないので「正義の味方」ではない感じは否めません。いつも「殴られた妻」が依頼者になるとは限りませんから。

④「ベンツに乗っていそう」

 ベンツって「えらそうな人」が乗っている「お金持ち」の代名詞みたいです。「こだわる」部分は個人差がありますので、高級車に乗っている弁護士もいるのでしょうが、当事務所の弁護士は裁判所に行くにも電車です。このイメージはもろくも崩れ去りました。

「弁護士とスタッフは職能職域がちがうだけ」と所長はいいます。つまり裁判所で依頼者の代理人として法廷に立つことは弁護士しかできないけれど、それだけのことだと言います。当事務所では弁護士のことを「先生」とは呼びません。

どこの世界でも常に自己研磨を怠らず、何事にも真摯に取り組むことのできる人を「えらい」と思います。もちろん、弁護士にも「えらい」人と「そうじゃない」人がいます。弁護士だからといってすべて「えらい人」だと思ってしまうと大間違い。まずは相談をして弁護士を見極めることが、良い結果をもたらす第一歩です。