先日、ある会社の代表者の方との何気ない会話の中で、「うちの従業員に、裁判所から裁判員の通知が来たらしいんだけど、いつ裁判所にいかなければならないのか」というご質問を受けました。
突然仕事を休まれてしまうとすると、会社としても業務に支障が出てしまうので、裁判所に行く時期やその期間について把握しておきたいとのことでした。

この従業員の方については、よくよくお話を聞いてみると、「あなたは1年間裁判員の候補者になります」という通知にすぎませんでしたので、「裁判員として実際に刑事裁判に参加するかどうかはまだまだわかりませんね」とお答えさせていただきました。

平成24年度の最高裁判所の公表によれば、裁判員候補者は28万5530人であり、この中から裁判員に選ばれるのは4%ほどに過ぎないようです。そのため、候補者選任の通知が来たとしても、すぐに慌てる必要はありません。

また、1年間の間に、実際に裁判所から裁判員選任の呼出状が届いたとしても、裁判官に対して、仕事上の都合、育児、介護など、裁判員としての仕事を行うことが困難な事情を説明し、裁判員を辞退することも可能です(実際に私が担当した事件では、会社の経理担当者の方で、裁判の期日が繁忙期にあたり、会社に代わりの人員がいないという理由で辞退された方もいらっしゃいました。)。

裁判員制度は国民が刑事裁判に参加するという今までにない画期的な制度ではありますが、国民に過度の負担を求めるものではありませんので、それほどご不安に思われる必要はないのではないかと思います。