1 内部通報制度とは、会社の業務において、法令違反、社内規定違反、倫理綱領違反の行為が発生し、または発生するおそれがあることについて、会社の内部から通報を受ける制度のことです。
この制度の目的は、事業者のコンプライアンスを確保するところにあります。「会社の内部」から広く通報を受ける趣旨から、社内の役員はもちろんのこと、契約社員・パート・アルバイトを含むすべての従業員が、通報の主体となります。

2 平成18年4月に施行された公益通報者保護法により、通報した方の保護などについて法による仕組み作りが制定され、既に10年以上が経過していますが、今では大企業だけではなく、中小規模でも内部通報制度を取り入れている企業が増えています。
「公益通報者保護法」が通報対象としているのは、刑法、食品衛生法、個人情報保護法などですが、問題の早期発見の観点からは、法の定める通報対象行為に限らず、広く通報を受け付けることが望ましいとされています。

3 実際に通報されている内容としては、たとえば「従業員の中に横領している者がいる」、「社内で法の規制に違反した商品が作られている」といった違法行為についてのこともありますし、「上司から『有給休暇は自由にとれない』と言われた」、「上司が部下に仕事を押し付けている」、「上司から『プライベートで出かけないか』としつこく誘われて困っている」といったパワハラ・セクハラと疑われるものもあります。会社にもよるでしょうが、パワハラ・セクハラに関する内部通報が比較的多いように思います。

4 内部通報制度を受け付けるのは、会社内部の特定部署ということもありますし、法律事務所などの外部組織ということもあります。
経営者が気づかない社内での問題点が明らかになることによって、違法行為を防いだり、マネージメントを向上させることもできますので、ある程度の規模(経営者の目が行き届かない程度の規模)の会社は、内部通報制度を取り入れてみるのも一つかもしれません。