内容証明郵便とは

内容証明郵便というのは、紛争が生じたときに相手方に対して何らかの請求をする場合に良く用いられる郵便です。
内容証明郵便で郵便を送りますと、日本郵便株式会社が日時・差出人・宛先・内容を証明し、また、相手方にその内容証明郵便が届いていることを証明してくれます。
こういった郵便が届く場合、差出人は訴訟等の法的な措置を行うことも想定して、郵便を送っている可能性がありますので、無視をせずに回答することが望ましいです。

内容証明郵便が届いたときはどうすべきか

内容証明郵便には、差出人の主張内容や請求内容が記載されており、受取人に何らかの回答をするように求める記載があります。そして、回答内容は、有利な内容も不利な内容も、後の証拠になりますので、慎重に回答を行う必要があります。そのため、内容証明郵便を受け取った場合は弁護士へご相談をして頂くことをお勧めいたします。

受け取りを拒否することについて

内容証明の受け取りを拒否した場合、受け取りを拒否したということが差出人に伝わることになります。差出人が訴訟等の法的措置を検討している場合は、このような対応をすると、訴訟等を提起されてしまうリスクがありますので、注意が必要です。

内容証明を受け取ったまま回答しないことについて

内容証明郵便が詐欺などの明らかな不当な内容ではない限り、まずは弁護士等に相談して頂くのが望ましいです。弁護士に相談をせずに内容証明郵便に対する回答をしない場合は、訴訟などの法的手続きが起こされる可能性があります。

訴訟は弁護士をつけずに行うことが難しいため、訴訟が起こされれば、弁護士費用の支払いの必要が出たり、反論のための打ち合わせのために時間を要したり、平日に裁判所への出頭を命じられる手間があり、判決や和解による解決までに半年や1年の時間がかかる等、負担が大きいです。そのため、内容証明を受け取った場合は、弁護士に相談をして頂き、訴訟を回避する方法を検討するのが望ましいです。

退職の意思表示の内容証明郵便に回答をしない場合のリスク

退職の意思表示の内容証明郵便に回答をしない場合、訴訟を提起されること以外にも、以下のようなリスクがあります。

例えば、離職票を発行しない、社会保険の資格喪失手続きを行わない、健康保険の傷病手当金の手続きに応じないような場合、元従業員側はハローワーク、年金事務所、健康保険組合に苦情を申し入れ、これらの機関から問い合わせを受けることになる場合があります。いずれも、使用者側に手続を行う義務があり、使用者側の社会的評価を低下させるリスクとなりますので、ご対応を頂くことをお勧めします。

どのように回答すべきかについて

差出人の主張内容について、どの部分は認めるべきか、どの部分は認めるべきでないということを検討したうえで回答をする必要があります。差出人の主張する事実関係について争うための証拠は十分にあるのか、また、争う証拠がないとして、どこまで差出人の請求を認めるべきなのかという点を検討して回答をしなければ、不利な状況に陥ってしまう危険があるためです。

また、差出人が、内容証明に十分な情報を記載していないことがありますので、そのような場合には、相手方が不利な事情を隠していないかを聞く必要があります。

以上のような点について回答をすることは、弁護士にご相談をしないまま行うことは難しいと思いますので、回答方法についても弁護士にご相談を頂くのが望ましいと言えます。

差出人の請求内容に応じることについて

内容証明郵便には、例えば、「復職を認めるよう要求する。」、「残業代●●●万円を●月●日までに支払え。」という要求内容が記載されており、この請求内容に応じれば、紛争が解決する可能性はあります。

もっとも、そもそも差出人の要求が過剰な要求である可能性があります。その場合は、交渉を行い、金額や支払方法等についてこちらに有利な条件を引き出す必要があります。

また、和解ができそうであるとしても、支払金額・支払方法・条件などを合意書で定めておかなければ、紛争の解決にはなりませんし、合意書に定める他には何も請求に応じる必要が無いことを約束してもらえなければ、更なる要求がなされてしまう可能性があります。そのため、どのような合意書を作成するのかについて、検討を行う必要があります。
これらの点についても、やはり、紛争解決に詳しい弁護士に相談をしておくことが望ましいと言えます。

回答期限を守るべきか

内容証明郵便では、郵便が到着した後●日以内に金銭の支払いをするように要求したりする内容が記載されていることがあります。このような期限は差出人が一方的に決めたものですので絶対に守らなければならないわけではありませんが、期限内に何らかの回答をしなければ、訴訟等の法的措置を差出人が取る可能性は否定できません。

そのため、回答期限内に差出人に対して連絡をした方が良いと考えます。連絡をする際には「弁護士に相談をしているので、●月●日までには回答します。」「弁護士に依頼したので、弁護士から連絡をしてもらいます。」と回答する方法があります。これらの回答をしたにもかかわらず、直ちに訴訟等の法的措置をとられてしまうというケースは少ないです。

ただし、弁護士に相談をせずに相手方の主張内容や請求内容に対して具体的な回答をする言ことは危険ですので、上記の連絡をする際には、具体的な回答を行わないように注意する必要があります。差出人がしつこく回答を迫ってきても、「具体的な回答は弁護士に相談してから行う」と回答して頂くように注意して頂きたいところです。

弁護士に相談をするメリット

これまでにご案内しましたように、内容証明郵便が届いた場合に検討すべきことは様々あり、どのように対応すべきなのかについて、弁護士に相談をして頂くのが望ましいと言えます。

具体的には、
・事実関係や請求内容を争うべきか否か、争うための証拠はどのようなものを用意すべきか
・差出人が不利な情報を隠していないか、請求内容が過剰な請求になっていないか
・請求内容を認めるべきか否か、認めるにしてもどの程度を認めるべきか、支払方法や支払い条件をどうすべきか
について、弁護士は助言をすることが可能です。

請求内容が不当である場合には、弁護士に相談をした結果、請求には応じないことにしたと回答すれば、差出人が請求をあきらめる場合もあり得ます。

また、差出人が相手方の依頼した代理人弁護士である場合には、こちらも弁護士をつけた方が良いというケースは往々にしてありますので、弁護士が代理人として交渉することもあり得ます。
そして、和解をする場合には合意書を作るべきであり、弁護士は合意書の作成について助言をすることが可能であり、交渉事件の依頼を受けている場合には合意書を代理で作成することが可能です。

以上の通り、内容証明郵便が届いた場合、訴訟提起を含む様々なリスクがありますので、
リスクが大きくならないように、また、速やかに紛争解決を行うために、可能な限り早い時期に弁護士への相談をおすすめします。

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■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 村本 拓哉
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