隣地所有者との間で土地の境界の問題がある場合、どのような手続きを用いて解決をすればよろしいのでしょうか。また、境界の位置はどのような方法によって特定するのが良いのでしょうか。今回は、この2点について解説をしたいと思います。

どのような手続きがあるのでしょうか?

境界問題相談センター

土地家屋調査士会が主催している、境界問題相談センターという相談窓口があります。
相談を行った後、境界問題の相手方が調停参加に応じれば、境界問題相談センターは、調停手続きを開始します。

調停においては、土地家屋調査士と弁護士の2名が、調停委員となり話し合いを進めていきます。調停委員は、法務局などで資料収集、調査を行います。必要であれば、調停委員が現地に行くこともあり、また、測量を行うこともあります。

以上の手続きの結果、境界について、当事者の間で合意ができた場合は、合意調書を作成します。合意調書の作成後は、境界標の設置、法務局で分筆登記や地図の訂正等を行います。

筆界特定制度

土地の境界(筆界といいます)の位置が不明で困っている人が、法務局に対し、土地の境界の位置を明確にするように求める制度です。

筆界特定登記官が、境界についての鑑定能力を有する専門家(筆界調査委員)の関与の下で境界の特定を行います。境界の認定資料は、筆界調査委員及びこれを補助する法務局職員が職権で収集します。

このように手続き自体は、法務局の職員が進めてくれるというのが大きなメリットです。反対に、紛争当事者への拘束力がなく、筆界特定に不満がある場合には境界確定訴訟を提起できるという特徴がありますので、当事者の双方が納得する可能性が高いケースで使用するのがおすすめです。

境界確定訴訟

裁判所に対して、境界の位置を特定するように求める訴訟です。審理期間が筆界特定制度に比べて長かったり、境界の特定のための証拠資料は当事者において行うことが予定されているために、当事者の負担は重いですが、拘束力のある判決を得られるために、紛争を解決する効果が大きい手続きです。

どのような方法で境界の位置を特定するのでしょうか?

法務局備え付けの地図及び地図に準ずる図面等

境界の特定のために、まず大事な資料は、法務局に備え付けられ、又は保管されている、登記記録、不動産登記法14条1項に定める地図、地図に準ずる書面(いわゆる公図)、土地所在図等の各種図面、地積測量図、建物図面、土地台帳等です。これらの中でも、境界を特定するのに最も有力な資料は、過去に境界を形成した時に登記官等が認識した筆界をそのまま表示・記入したはずの地図又は地図に準ずる図面です。

他の官公署及び民間の補完する地図・図面等

国土調査によ地籍図、官民境界査定図・官林図等、国有・公有財産についての境界協議に基づく図簿等も、境界の特定の判断に影響を与える資料です。

近隣の所有権界についての図面・契約書等

私人間で成立した所有権界についての資料等は、境界の特定のための重要な資料になります。

地形地物

明治時代において、境界を定めるにあたっては、地形を利用すべきとされていました。そのため、境界の特定を行う際には、現地を訪れ、測量をした上、地図・公図と地形・地物を見比べることが基礎的な作業になります。

占有状況

境界付近において、誰がいつごろ、どのような工作物等を設置していたか、あるいは誰も占有していなかったかという占有状況は境界を特定するうえでの判断資料になります。

写真・証言等の物証・人証

土地の写真や航空写真等は境界の特定の判断資料になりますし、現場近くで長年住んでいる人、関係する土地の旧所有者、デベロッパー等の証言も調査の対象となります。

まとめ

以上の通り、境界問題を解決する手続きと境界の位置を特定する方法を解説させて頂きました。境界問題でお悩みの方は、一度、弁護士にご相談を頂けますと幸いです。

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■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 村本 拓哉
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