医薬品や化粧品、サプリメントなどは世間でも大きな関心が寄せられており、これらを扱う企業は増えております。

しかし、これらを販売するうえで必ずといってよいほど直面する問題は、薬機法です。

薬機法に違反した場合、懲役や罰金なども規定されております。

そこで、こうした事態を防ぐために、ここでは、薬機法で規制されているやっていけない行為について解説いたします。

薬機法の目的

薬機法の目的は、薬機法第1条に記載されておりますが、医薬品等の品質や有効性、安全性を確保して、保健衛生上の危害の発生と拡大を防止し、国民の生命や身体を守ることです。

医薬品などは、人の身体に大きな影響を与えます。品質が悪いものが流通するなどすると、健康被害をもたらす大きな問題となります。

そこで、薬機法で必要な規制をすることで医薬品等の品質不良と、それを原因とする健康被害の予防を図っています。

薬機法の規制対象

薬機法は、医薬品などの製品に対して規制することを通して、保険衛生を維持することを目的にしておりますが、そのために主に5つのカテゴリーの製品について規制をしております。

①医薬品
②医薬部外品
③化粧品
④医療機器
⑤再生医療等製品

薬機法の規制対象については、https://www.saitama-bengoshi.com/oyakudachi/20240722-1/をご覧ください。

薬機法の規制内容

薬機法は、健康被害の予防を図るために、医薬品などを扱う者に対して規制を設けております。その主な内容は、①医薬品の取り扱いについて、②無許可・無登録での販売、③広告規制です。

以下、順にご案内いたします。

医薬品の取り扱いについて

薬機法は、保険衛生を維持し、国民の生命や身体を守るという目的のもと、医薬品等について流通規制を設けております。

それは、医薬品等の使用には、治療効果という極めて大きな利益がある一方で、副作用などの危険なリスクが伴うからです。

そのため、医薬品等を製品として流通させるためには、その有効性や安全性についてきちんとした審査を受けて、承認を受ける必要があります。

その規制は、「安全な医薬品等のみが流通するという承認制度(物の品質の視点)」と「適切な管理を行うことができる者だけが販売できるという承認制度(主体の視点)」の2つの側面があります。

この両側面が機能することで、薬機法の目的が初めて達成されます。

「医薬品の取り扱いについて」は、このうち物の品質の視点から見た規制ですが、薬機法では、「製造販売業者は、製造販売をしようとする医薬品について、品目ごとに製造販売についての承認を受けなければならない」旨の規定を設けています(薬機法14条1項)。

医薬品等の品質を維持するために、厚生労働大臣等(一部の医薬品は都道府県知事が承認します)による承認制度を設けており、このような承認を受けていない医薬品等を販売した場合には罰則がありますから、きちんとした承認を受けないで販売をすることはできません

医薬品等の承認手続きについては、臨床試験(治験)を実施してデータを収集するなどが必要です。また、承認後に効能効果の変更や製造方法の変更などが生じた場合には、承認事項変更のために必要な手続きをとる必要があります。

無許可・無登録での販売

いかに承認を受けた医薬品であっても、誰でもが販売をしてよいというわけではありません。きちんと品質を管理できる人でないと販売してはなりません。

薬機法の業許可は、医薬品、医療機器、再生医療等製品などの製品をそれぞれ取り扱う事業者に対し、大きく分けて、製造販売業、製造業、薬局・販売業等の3つの業態について与えられます。

そして、業許可には、第一種医薬品製造販売業許可、第二種医薬品製造販売業許可といったクラス分けがされているものや、医療機器の製造業のように許可ではなく登録という制度になっているものがあるほか、販売業者については、卸売販売業許可、店舗販売業許可、配置販売業許可など、医療機器であれば、貸与業許可、修理業許可など、医薬品等の流通への関わり方に応じた多様な業許可が用意されています。

このように、それぞれに用意されている業許可を確実に受ける必要があります

そして、それぞれの業許可を受けるためには、薬機法が定める許可要件を満たす必要があります。

広告規制

医薬品等を医療関係者の方や患者さんに実際に購入してもらうためには、承認を受けるだけではなく、使用する方に対して情報提供をして、製品について知ってもらう必要があります。

製品について知ってもらうための活動として、広告活動がありますが、広告は販売促進を目的とするので、製品についてのポジティブな面ばかり強調され、ネガティブな面はあまり表に出てこないことが多いです。

しかし、医薬品等の効果、効能は必ずしも目に見えるものではなく、明らかになりにくいので、使用する側としては、情報提供者の発信する情報を信じて、その医薬品を使用するかどうか決めてしまいます。

もし、情報提供者の情報が不正確であると、実際には使わなくてよい医薬品を使ってしまい健康被害が出るなどのことがあり得ます。

そのために、広告規制がされているのです。

主に規制されている広告表現は、以下のとおりです。

①虚偽または誇大な広告→医薬品等の名称・製造方法・効能・効果・性能に関して、虚偽または誇大な公告をしてはいけません。 医師などが効果を保証したと誤解されるおそれのある表現も禁止されています。

 ②特定疾病用の医薬品等に関する一般向け広告→がん・肉腫・白血病の治療を使用目的とする医薬品・再生医療等製品のうち、医師または歯科医師の指導のもとで使用しなければ危険が大きいものについては、一般消費者向けの広告が禁止されています。

 ③未承認医薬品等に関する広告→薬機法に基づく承認や認証を受けていない医薬品・医療機器・再生医療等製品については、一切広告をしてはいけません。

広告活動は、製品の売上げに大きく影響しますから、つい大きな宣伝文句を入れてしまいがちで、細心の注意を払わないと薬機法に違反する可能性があります。

こうした広告活動のやり方については、細心の注意を払う必要があります

まとめ

ここまで、薬機法に違反しないために、薬機法の規制内容について解説しました。

薬機法は、法律を読んでも難解な用語が多く、その一方で広告規制などしっかりと理解して注意をしないと、知らぬ間に違法なことを行ってしまう可能性がある難しい分野です。

薬機法に違反しないかなど、きちんとした判断をするには専門的な知識が必要となります。

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■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 遠藤 吏恭

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