健康食品を販売する際には広告を用いて、多くの方にその効用を知っていただくことが重要です。

ですが、健康食品は薬機法の規制対象となり、その取り扱いには細心の注意が必要になります。特にこういった商品の広告には強い規制があります。

健康食品の場合、用いるべきではないフレーズなどもあります。薬機法に違反しないために、ここでは、使ってはいけない表現について解説いたします。

薬機法の広告規制

薬機法では、広告規制がありますが、具体的にどういった根拠から、どういった規制をしているのでしょうか。

薬機法の目的は、薬機法第1条に記載されておりますが、医薬品等の品質や有効性、安全性を確保して、保健衛生上の危害の発生と拡大を防止し、国民の生命や身体を守ることです。

医薬品などは、人の身体に大きな影響を与えます。品質が悪いものが流通するなどすると、健康被害をもたらす大きな問題となります。

そこで、薬機法では医薬品等の品質不良と、それを原因とする健康被害の予防を図っています

製品について知ってもらうための活動として、広告活動がありますが、広告は販売促進を目的とするので、製品についてのポジティブな面ばかり強調され、ネガティブな面はあまり表に出てこないことが多いです。

しかし、医薬品等の効果、効能は必ずしも目に見えるものではなく、明らかになりにくいので、使用する側としては、情報提供者の発信する情報を信じて、その医薬品を使用するかどうか決めてしまいます。

もし、情報提供者の情報が不正確であると、実際には使わなくてよい医薬品を使ってしまい健康被害が出るなどのことがあり得ます。

そのために、広告規制がされているのです。

薬機法の広告規制は、①虚偽または誇大広告の禁止(法66条)、②特定疾病用の医薬品・再生医療等製品に関する一般向け広告の禁止(法67条)、③未承認医薬品等に関する広告(法68条)などがあります。

このうち、おそらくもっとも企業において注意しなくてはならない規制は、①虚偽または誇大広告の禁止かと思われます。

広告の表現の仕方によっては、この規制に引っかかることもあり得ます。

そこで、以下、特に健康食品について用いるべきでない表現について解説いたします。

用いるべきでない表現・フレーズ

「治る」という表現はNG!

健康食品は、あくまで薬ではありません

つまり、一般的な食品よりは健康に良いとされているだけの食品であり、治癒させるためのものではありません。

そのため、「治る」という効用は健康食品には本来含まれていない要素となりますから、虚偽広告・誇大広告に該当するおそれがあります。

同様に「予防する」という表現を用いるべきではありません。

では、どのような表現を用いるとよいのでしょうか。

あくまで薬ではないことから、「治る」とか「予防する」という表現は用いるべきではありませんが、「ある成分を補給できる」という範囲であれば虚偽でも誇大広告でもありません(もちろん、そういった成分を補給することが真実にできるという前提です)。

そのため、「このサプリメントでは、不足しがちなビタミンAやビタミンBを効果的に補給できます!」という表現であれば良いかと思われます。

検査値が良くなるという表現もNG!

健康食品が薬ではない以上、特定の病気や症状を改善することができるような表現を用いることもできません。

このような表現も虚偽表現・誇大広告に当たる可能性があります。

そのため、「このサプリメントを服用することでコレステロール値が下がります!」という表現は避けるべきかと思われます。

このようなことを伝えたい場合には、「このサプリメントは忘年会シーズンにアブラの多い食事をされる方におすすめです!」という表現がよいかと思われます。

このように、「アブラの多い食事」という表現をすることで、特定の症状や検査値が下がるということの明言を避けることができます。

なお、健康食品でもっとも多い製品はダイエット食品です。

そのため、行政としてもダイエット食品への規制には敏感な部分もあるかと思われます。

ダイエット食品の広告をする場合には、特に注意をすべきかと思われます。

お客様の声にも注意!

たとえ、お客様の声で本当に頂いていたとしても、ここまで見てきた「治る」などの表現は使うべきではないかと思われます。

例えば、「お客様から、このサプリメントを飲み始めてコレステロール値が下がりましたという声を多くいただいております!」というような表現は避けるべきかと思われます。

本当にそういったアンケート結果などがあったとしても、これを見た消費者の方は、その健康食品によって症状が改善したというふうに思います。

そうすると、実際には健康食品にはそういった効果がないにもかかわらず、そういった効果があると誤信させることとなるため、薬機法に違反します。

注意すべきポイント

以上のように、注意すべき表現は数多くあり、ここで紹介したもの以外にもたくさんあります。

効果や効用を言わない
身体の特定の部位を言わない
病名や症状を言わない 

ですが、注意すべきなのは、以下のポイントです

これらのポイントを意識すれば、薬機法に違反する可能性がグッと下がるかと思われます

まとめ

ここまで、薬機法に違反しないために、薬機法の規制内容の中でもとりわけ重要となる、広告規制について、健康食品の分野の視点から解説しました。

薬機法は、法律を読んでも難解な用語が多く、一方で、これは規制に反しないだろうと思って誇大広告などをしてしまい、知らぬ間に違法なことを行ってしまう可能性がある難しい分野です。

薬機法に違反しないかなど、きちんとした判断をするには専門的な知識が必要となります。

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■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 遠藤 吏恭

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