強調表示と打消し表示は、テレビCMなどでも多用されており、身近な広告と言えます。。
よく使われる広告手法ですが、違法とならないためには注意すべきこともあります。
このコラムでは、強調表示と打消し表示について、要件や注意点を解説します。
1 強調表示と打消し表示とは?
(1)強調表示とは何か?
強調表示とは、事業者が、事故の販売する商品やサービス等を一般消費者に宣伝する方法として、断定的な表現や目立つ表現などを使って、品質や価格等を強調する表示のことをいいます。
(2)打消し表示とは何か?
打消し表示とは、強調表示からは一般消費者が通常予測できないことであって、一般消費者が商品等を選択するにあたって重要な考慮要素となることに関する表示のことをいいます。
例えば、ある商品について、「●という効果抜群!カスタマーアンケートにおいて●という評価!」という強調表示とともに、「個人の感想であり効果には個人差があります。」という旨の打消し表示を表示することは、実際の広告として多く行われています。
強調表示は、自己の販売する商品やサービスの品質を良い方向に強調するものですが、それ自体が直ちに違法となるものではありません。
ただし、強調表示がなされると、表示の内容がその商品・サービスに無条件・無制約に当てはまると受け止められる可能性があるため、例外があるときはその旨を打消し表示で表示する必要があります。
2 打消し表示の注意点(総論)
(1)すべての媒体に共通すること
①打消し表示の文字の大きさ
②強調表示の文字と打消し表示の文字の大きさのバランス
③打消し表示の配置箇所
④打消し表示と背景の区別
(2)動画広告
①打消し表示が含まれる画面の表示時間
②強調表示と打消し表示が別の画面に表示されているかどうか
③音声等による表示の方法
④複数の場面で内容の異なる複数の強調表示と打消し表示が登場するかどうか
(3)Web広告(PC)
①強調表示と打消し表示が1スクロール以上離れているかどうか
(4)Web広告(スマートフォン)
①アコーディオンパネルに打消し表示が表示されているかどうか
②コンバージョンボタンの配置箇所
③スマートフォンにおける強調表示と打消し表示の距離
④スマートフォンにおける打消し表示の文字の大きさ
⑤スマートフォンにおける打消し表示の文字とその背景の色や模様
⑥他の画像等に注意がひきつけられるかどうか
3 打消し表示の注意点(個別に)
(1)全ての媒体に共通すること
ア 打消し表示の文字の大きさ
打消し表示の文字が小さすぎて、一般消費者が見落としてしまうものであった場合、打消し表示の意味がなくなってしまいます。
そのため、一般消費者が打消し表示を実際に目にする状況で、文字を十分に読み取ることができるかどうかを十分に検討する必要があります。
イ 強調表示の文字と打消し表示の文字の大きさのバランス
強調表示と打消し表示は、二つで一つの関係にあります。
一般消費者にとっては、いずれも同じように目につく・読み取ることのできるものである必要があります。
そのため、両者の文字の大きさのバランスについては、注意する必要があります。
ウ 打消し表示の配置箇所
打消し表示の文字の大きさが適切であったとしても、打消し表示が強調表示からあまりにも離れた場所にある場合、一般消費者は、打消し表示に気付かなかったり、強調表示に対応するものと認識できなかったりすることがあります。
そのため、打消し表示は、強調表示のできるだけ近くに配置することが必要です。
(2)動画広告について
ア 打消し表示が含まれる画面の表示時間
打消し表示は、一般消費者がその内容を十分に判読・認識できる必要がありますので、打消し表示の表示時間が短く、一般消費者がその内容を読めない場合には、打消し表示の要件を満たさないことになってしまいます。
イ 音声の使用方法
強調表示が文字と音声で構成されている一方、打消し表示が文字だけで構成されている場合、一般消費者の注意が打消し表示に向かないことも考えられるため、広告に音声を使用する場合は、強調表示と打消し表示のいずれにも使用することが良いでしょう。
(3)Web広告について
Web広告においては、強調表示と打消し表示の物理的な距離が問題となります。
両者の距離としては、1スクロール以内にあることが望ましいとされています。
両者が1スクロール以上離れている場合は、一般消費者が打消し表示の存在を認識できるか否かという点やどの程度スクロールする必要があるか否かという点を考慮して判断されます。
4 まとめ
以上見てきたように、強調表示と打消し表示を適法に行うためには、媒体ごとに注意するべき点がたくさんあります。
これらの広告を行う際には、各要件を満たしているかどうか、よく確認する必要があります。
これらの広告は、一般消費者を誘引するための有効な手段ではありますが、やり方を間違えると、景品表示法上の規制・行政処分等を受けることになってしまいます。
強調表示と打消し表示が適法かどうかについては、法律に関する専門的な知識や判断が必要になりますので、お困りの場合は、お早めに弁護士に相談されることをおすすめします。
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