会社が破産する時に、経営者・代表者が家を維持できる可能性はないか?

不幸にして会社を破産せざるを得ない場合、会社経営者・代表者の方が気にされる点の一つに、自宅を維持することができるかどうか、というものがあると思います。

今回は、この点について、さいたま市大宮区で30年以上の実績のある弁護士法人グリーンリーフ法律事務所が解説します。

代表者が取りうる債務整理

破産手続

破産手続

債務整理手続きの代表的なものとしては、破産手続が挙げられます。

破産手続とは、いわゆる自己破産のことです。

自己破産とは、債務者(借り手)が多額の借金や住宅ローンなどにより経済的に破綻し、所有する資産を処分しても、債権者(貸し手)に対してすべてを返済することが出来ない場合に、財産(最低限の生活用品は除く)を処分し、債権者に対して公平に弁済し、不足部分は免除してもらう手続き(免責)をいいます。

個人再生

個人再生

裁判所を利用した手続きで、破産手続以外の債務整理としては、個人再生手続が挙げられます。

個人再生とは、財産を処分することなく、裁判所に申立てをして、負債を圧縮した返済計画を立案し、3年から5年間かけて分割して返済していく手続です。

再生計画通りに返済ができた場合には、残りの借金の支払いは免除されます。

※住宅ローンがある場合は、厳密には、住宅ローンを完済して初めて免除となります。

個人再生手続には、①小規模個人再生手続と②給与所得者再生手続の2つがあります。

①小規模個人再生手続は、債権者及び債権額の過半数の反対の無いことが計画認可の条件となります。従って、債権額の過半数を有する債権者がある場合には注意が必要です。

②給与所得者等再生手続は、小規模個人再生手続のような債権者及び債権額の過半数の反対が無いことという条件が不要であるため、小規模個人再生が難しい可能性がある場合に利用することが多いように思われます。

経営者保証ガイドラインによる債務整理

経営者保証ガイドラインによる債務整理

経営者保証ガイドラインとは、正確には、「経営者保証に関するガイドライン」と言い、「中小企業、経営者、金融機関共通による自主的なルール」です。

法的拘束力はないものの、関係者は、尊重し、遵守することが期待されています。

そして、会社について法的整理・準則型手続による整理をしていることを前提に、この「経営者保証ガイドライン」において定められたルールに従って行う債務整理が、「経営者保証ガイドライン」を利用した債務整理です。

住宅を維持できる可能性がある手続きは?

破産手続の場合

破産手続の場合

上記で見た通り、破産手続をとった場合には、基本的には財産のすべてを処分します。(条件を満たした場合は、現金預金を中心に99万円までの財産を維持することができる場合があります)

従って、自宅を自身の所有にて維持することは難しく、どうしても維持したい場合には、親族に買い取ってもらうなどの方法を検討することが一般的です。

個人再生の場合

個人再生の場合

上記で見た通り、個人再生手続の場合は財産を処分しないことから、住宅を維持することができる可能性があります。

但し、個人再生の場合、返済計画を定める際には、保有する財産の評価額が問題となります。従って、ローンの残額よりも査定などで取得した評価額が高い(オーバーローンではない)住宅を有したりしている場合や、ローンの支払いを終えたりローンの無い住宅を有したりしている場合には、住宅の評価額によっては返済計画が高額となり、実際には返済計画の実行が難しいという可能性が無いとは言えません。

ただし、多くの方は住宅ローンを組んで住宅を購入しているでしょうし、オーバーローンではないという場合はそう頻繁には発生していないように思いますので、まずは、住宅の維持を検討すべきと考えられます。

なお、個人再生手続は、総債務額(住宅ローン除く)が5000万円を超えた場合にはできないことから、総債務額が5000万円を超えた場合には、通常再生を検討することになります。

但し、通常再生は、企業の再生を目的とした制度のため、個人再生よりも複雑であったり、費用が高額になったりする可能性はあります。

ですが、このような通常再生の場合であっても住宅ローン特則は使えますので、あきらめずに検討が必要です。

経営者保証ガイドラインを利用した債務整理の場合

経営者保証ガイドラインを利用した債務整理の場合

このガイドラインを利用した債務整理において、法人からの回収見込額が増加した場合、自由財産に加えてインセンティブ資産を残すことができる可能性があります。

この「インセンティブ資産」の中には、「華美でない自宅」「一定期間の生計費」などが考えられるため、自宅を維持できる可能性があります。

また、ローンの残額の方が査定などで取得した評価額が高い(オーバーローン)住宅であれば、経営者保証ガイドラインを利用した場合の弁済計画の計算に入れないようにすることができる場合があるので、この観点でも住宅を維持できる可能性があります。

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴

開設以来、数多くの法人破産申立・破産管財事件・代表者破産に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、破産手続に精通した弁護士が数多く在籍し、また、法人破産専門チームも設置しています。

このように、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所・法人破産専門チームの弁護士は、破産手続や代表者保証に関する法律相談を日々研究しておりますので、法人破産や代表者の債務整理に関して、自信を持って対応できます。

住宅の維持の可能性を検討したい経営者・代表者の方は、ぜひ、当事務所にご相談ください。

最後に

最後に

グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、17名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。

また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

※ 本コラムの内容に関するご質問は、顧問会社様、アネット・Sネット・Jネット・保険ネットの各会員様のみ受け付けております。

■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 野田 泰彦

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