会社合併とは、文字どおり、ある会社と別の会社とが合併することです。合併には、新設合併と吸収合併の二種類があり、前者は新しい会社を立ち上げて前の会社は解散することをいい、後者はうち1社が存続しもう1社が消滅することをいいます。このページでは、埼玉県で30年以上、中小企業を中心とする企業法務を扱ってきた法律事務所の弁護士が、会社合併について、ポイントを絞って分かりやすく解説します。

会社合併とはどのようなものですか?

会社合併とは、文字どおり、ある会社と別の会社とが合併することです。合併には、新設合併と吸収合併の二種類があり、前者は新しい会社を立ち上げて前の会社は解散することをいい、後者はうち1社が存続しもう1社が消滅することをいいます。

大きなポイントは、会社合併では、消滅する会社が必ず発生しますが、その会社の権利・義務(借金、債務、雇用契約などを含む)の全部が新設合併における新設会社、吸収合併における吸収会社に承継されるという点です。

両者の違いは、株式という形でも異なります。

つまり、新設合併の場合には、消滅会社(前の例でいうA社とB社)の株主は、A社とB社との間の合併契約に従って、消滅会社の株式にかえて、新設会社(前の例でいうC社)の株式が交付されます。

一方で、吸収合併においては、存続会社(前の例でいうA社)はそのままですが、消滅会社(前の例でいうB社)の株主は、存続会社の株式を交付される保証はなく、合併契約にしたがって社債、新株予約権などのみを交付されることがあります。

また、お金だけが消滅会社の株主に交付される場合もあり、交付金合併などと呼ばれます。

さらに、親会社や関係会社の株式が交付されるものが、三角合併などと呼ばれます。

吸収合併と新設合併ではどちらがよいですか?

一概に、吸収合併と新設合併のどちらがよいということは言えませんが、多くの会社は、吸収合併による合併を選択するようです。

その理由としては、新設合併の場合には手間や費用が多くなるということが挙げられます。例えば、登録免許税でみると、合併による資本金増加額に対する1000分の1で済む吸収合併に対し、新設合併は新設会社の資本金の1000分の1.5となります。

合併すると決めたら、どのように進めればよいですか?

合併の進め方としては、合併契約を締結し、合併承認決議を経ることになります。

合併は、会社同士の契約です。

合併契約は、各社の代表取締役(または代表執行役)が取締役会決議(取締役会がない会社では取締役の過半数による決定)を経て、締結することができます。

主に、合併の条件、組織体制、スケジュールなどが定められます。

また、合併をするには、原則、株主総会の特別決議による合併契約の承認が必要です(会社法309条2項12号)。

 ※株主総会の特別決議とは、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成を必要とする決議です。

そのため、通常、合併契約は、停止条件付(つまり、会社による株主総会の承認を得て初めて効力が発生する)で成立します。

なお、株主総会決議は、合併契約で定めた効力発生日の前日までに行う必要があります。

反対株主の株式買取請求権

最後に、反対株主の株式買取請求権についてご説明します。

消滅会社及び存続会社の合併に対する反対株主は、株式買取請求を行使することができます。

そのため、会社としては、株主の買取請求に応えなければなりません。

そして、買取りの効力は、合併の効力発生日に生ずることになります(会社法787条5項、788条5項1号、807条5項、809条5項1号)。

その際の買取価格は、「公正な価格」(会社法785条1項、797条1項、806条1項)とされ、公正な価格は、合併による相乗効果(シナジー)を反映させたものである必要があります(最判平成23年4月19日判決)。

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■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 時田 剛志

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